NECと東北大学電気通信研究所は3月23日、インターネットIP音楽放送に適用可能なリアルタイム配信基盤技術を発表した。両組織は、実際に同技術ベースのIP音楽放送サービス向けシステムを開発し、実証実験で有効性を確認できたという。
新開発の技術は、東北大学が以前より開発している、1つの音データを複数のデータに分割して、一部のデータが欠落しても元の音データを復元できる技術「複数記述(MD:Multiple Description)符号化技術」と、NECのマルチパスルーティング技術を組み合わせで構成している。
まず、MD符号化技術をベースに、デジタル音信号を高品質/低ビットレートで伝送可能な新しい符号化方式「周波数ストライプMD符号化方式」を開発。同方式は、原データを周波数に変換し、周波数領域のデータを2つに分割してデータを伝送する。伝送中に一部の周波数分割データが欠落しても再生可能であるため、安定したIP放送サービスを提供できる。帯域利用効率も従来の約2倍になる。
一方、NECのマルチパスルーティング技術は、複数の独立したルートでデータを転送する技術。周波数ストライプMD符号化方式と組み合わせることで、パケットロスの発生を分散させ、IP放送サービスの安定性をさらに高めた。
実証実験の結果、原信号データ送信帯域をほとんど増加させることなく、音質が従来の方法よりも大きく向上したという。両者では、「従来のストリーミング配信技術の課題であったパケットロスに起因する著しい品質劣化の問題を解決し、音飛びのない高品質なインターネットIP音楽放送が実現できる」としている。