XenSource(本社:カリフォルニア州パロアルト)は米国時間4月2日、同社フラグシップ仮想化製品のWindowsサポート強化を発表したが、6月出荷予定の新バージョンでは大幅な変更が加えられることになるという。
「XenEnterprise 3.2」では、これまでのバージョンが対応していた「Windows Server 2003」と「Windows XP」に加え、「Windows Server 2000」まで動作するようになった。さらに、前者2種類のOSに関しては、1基だけではなく最大8基のプロセッサをサポートするようになった。
主要x86サーバに浸透しつつある仮想化は、1台のコンピュータ上にある「バーチャルマシン」という異なる区画で複数のOSを同時に動作させる技術。この技術を利用すれば、コンピュータをより効率的に活用することができ、最終的には、変化する処理需要に流動的かつ自動的に対応できる基盤が実現する。
既存のXenSourceソフトウェアは、1台のサーバ上で運用する設計になっているが、6月の変更により、同社の製品と野望が大幅に拡大されることになると、最高技術責任者(CTO)のSimon Crosby氏は語る。その際には、同社のソフトウェアが実行中のLinuxやWindowsバーチャルマシンを1台の物理マシンから別のマシンへと移動し、管理ソフトウェアで一連のサーバを集中管理できるようになる。
Crosby氏は、「XenSourceは、6月に初めてフェデレーテッドマルチサーバ製品へと移行する。1つの共有ネーム空間に複数のXenEnterpriseサーバを置き、バーチャルマシンを瞬時に移動できるようになる。マルチサーバのダイナミックインフラではこれが基盤的要素になる」と語っている。
オープンソースのXenソフトウェアを基盤にした製品を開発するXenSourceは、圧倒的なシェアを持つx86サーバ用仮想化ソフトウェアベンダーのVMwareからマーケットシェアを奪おうとしている。VMwareは既に、「Virtual Infrastructure 3」という製品の形で高いレベルの仮想化ソフトウェアを提供している。
仮想化は注目の概念で、XenSourceにはほかにも多数のライバルがいる。例えば、Microsoftから2008年出荷予定の「Viridian」ソフトウェア、Novellの「SUSE Linux Enterprise Server」や「Red Hat Enterprise Linux」に搭載されたXenの各種オープンソースバージョン、新規参入の「KVM」、「Virtual Iron」、SWsoftと同社の「OpenVZ」プロジェクトなどがある。
Crosby氏によると、XenSourceは現在「数百社」の顧客を抱えているという。そのなかには、ServerCaveやPanAmerican Capital Partnersなどが含まれる。
Xenは、仮想基盤上で動作するようOSの修正が必要な「準仮想化」と呼ばれる仮想化技術の一種を採用している。これは、オープンソースのLinuxでうまく機能する。しかし、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)の新しいx86プロセッサでは、WindowsなどのプロプライエタリなOSがそのままXenで動作する。
Crosby氏は、Red Hatが公開しているソースコードを使ってOracleが「Red Hat Enterprise Linux」のクローンを開発したことに言及し、「われわれは、OracleがRed Hatにしたようなことをされたくない」と語っている。
Xenはオープンソースソフトウェアだが、Windowsのネットワークパフォーマンスを向上させるプロプライエタリなソフトウェアなどもXenEnterpriseには含まれている。
だがまもなく、Windowsのネットワーキング処理高速化は商用版専用のオプションではなくなる。IntelとNovellはXenの仮想Windowsネットワークのボトルネックを解消するオープンソースソフトウェアを開発中で、Novellは、2007年上半期の「SLES 10 Service Pack 1」出荷までに同ソフトウェアをリリースすることを明らかにしている。
XenEnterpriseの価格は、プロセッサごとのコア数に関係なく、デュアルプロセッササーバで年間488ドルとなっている。また、最大4バーチャルマシンの制約がある「XenExpress」と呼ばれるバージョンが無償でも提供される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ