EMC傘下で仮想化ソフトウェアを提供するVMwareが、新規株式公開(IPO)で最大1億ドルを調達する計画だ。同社が米証券取引委員会(SEC)に提出した書類から明らかになった。
EMCは2007年に入り、VMwareをIPOさせる計画であることを明らかにした。同社はこのとき、IPOが、株主に「VMwareの価値を広く開放」し、VMwareにおける優秀な従業員の採用および維持を促進するものであるとしていた。EMCが売却するのは、VMware株式のわずか10%。EMCは、VMwareのIPO後も同社を引き続き管理下に置く意向だ。
153ページにわたる提出書類には、VMwareの収益性など、EMCがこれまで明らかにしていなかった情報も記載されている。EMCはこれまで、業績発表の際にVMwareの四半期ごとの売り上げしか公表してこなかった。
SECへの提出書類によると、VMwareの2006年における売り上げと純利益はそれぞれ7億400万ドル、8700万ドルだったという。また、2005年の売り上げは3億8700万ドル、純利益は6700万ドルだった。2004年の売り上げと純利益はそれぞれ2億1900万ドル、1700万ドルだった。
書類からは、同社が1億ドルの資金調達を計画していることも明らかにされている。
VMwareの仮想化ソフトウェアを利用すると、単一のx86マシン上で複数のOSを同時に動かすことができる。また、ハードウェアの処理能力を、必要に応じてさまざまな作業に割り当てることで、コンピューティングリソースの効率的な利用を可能にする。仮想化は以前から存在した技術だが、主流のx86サーバやPCではなく、ハイエンドのメインフレームやUNIXサーバにおいて主に利用されていた。
EMCは書類のなかで、競合などの複数のリスクについて詳述している。VMwareと競合するオープンソースプロジェクトは複数存在するが(たとえばXenSourceだけでなく、Red HatとNovellも、仮想化ソフトウェアXenを出荷している)、EMCは競合企業としてMicrosoftの名前しか挙げていない。
EMCは、VMwareが対象としている市場は大きいと考えている。書類には、「われわれの仮想化ソリューションが生かせる市場機会は大きく、現在も拡大している。IDCの推計によると、仮想化ソフトウェアを運用しているマシンの数は、x86サーバが100万台未満(世界での稼働数は2480万台)、そしてビジネスクライアントPCが500万台未満(同4億8970万台)という。チップはマルチコア化される一方で、その能力は十分に活用されていない。さらに、デスクトップ環境は複雑化している。これらの傾向は、仮想化がサーバとデスクトップの両分野で加速することを意味している」と書かれている。
もっとも、未来の株主がVMwareの運営に携われることには期待できない。
この書類には、「運営に携わる株主はEMCとなる。IPO後もEMCが引き続きVMwareを運営する。取締役の選出や重大業務の承認など、株主の承認が必要なすべての事項においてEMCがコントロール権を行使する」と書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ