Microsoftは米国時間5月8日、同社の新ブラウザ「Internet Explorer 7」や「Office 2007」「Exchange 2007」を含む製品に存在する、19件のセキュリティ脆弱性を修正した。
同社は月例パッチリリースの一環として、7件のセキュリティ情報を発表している。いずれの情報も、最も深刻度の高い「緊急」レベルのもの。緊急レベルの脆弱性は、ユーザー側の作業をほとんど、あるいはまったく必要としないで、対象となるシステムを完全に支配するのに悪用可能な場合が多い。
パッチが8日にリリースされた脆弱性の大半は、ユーザーに悪質なウェブサイトを閲覧させたり、悪質なファイルを開かせたりするだけで悪用でき、こうした攻撃を仕掛けるサイバー犯罪者は増加しつつある。
今回のアップデートに含まれる「MS07-027」は、悪質なウェブサイトを通して悪用されるおそれのある、Internet Explorerの6件の脆弱性を修正する。またほかの3件のアップデートは、Office 2007をはじめとしたOfficeアプリケーションの脆弱性に対処する。これらのバグのほとんどは、Officeアプリケーションが特定のファイルを扱う方法に不具合があることから生じており、悪質なOfficeファイルを用いて悪用される可能性がある。
Exchangeの脆弱性を悪用すると、ユーザーに特別な操作をさせなくても、電子メールサーバソフトウェアが稼働するシステムを完全に支配できるようになる。Exchange 2007を含む同製品シリーズには4件の脆弱性があり、Microsoftはセキュリティアップデート「MS07-026」でこれらを修復した。中でも危険性が高いのは、Exchangeが電子メールメッセージを暗号化する方法に存在するバグだという。
Internet Explorer 7、Office 2007、Exchange 2007に深刻な影響を与える複数の脆弱性が新たに公表されたことで、Microsoftのセキュリティに関するメッセージに傷がついたと、Qualysの脆弱性研究所マネージャーであるAmol Sarwate氏は指摘している。Microsoftは同社のセキュリティ開発プロセスに言及し、これらの製品の安全性を強調してきていた。
Sarwate氏は、「ExchangeおよびOfficeを筆頭とするMicrosoft 2007ソフトウェアをめぐっては、今後も脆弱性の発見が相次ぎ、同社のセキュリティ開発ライフサイクルが完全ではないことが表面化するだろう」と述べる。Microsoftは4月のパッチリリースで、「Vista」にも影響をおよぼすWindowsのゼロデイ脆弱性用パッチを含むセキュリティアップデートを提供した。
そのほかにも、多くのユーザーが影響を受けると考えられる問題として、アプリケーションに暗号化機能を追加するコンポーネント「Capicom」の脆弱性がある。Microsoftのセキュリティ情報「MS07-028」によれば、これは同コンポーネントが特定のデータを処理する方法に関係する不具合で、攻撃者に悪用されると、同コンポーネントが動作するコンピュータが乗っ取られるおそれがあるという。
今回のアップデートの中には、3件のゼロデイ脆弱性を修復するものが含まれている。このうち1件のアップデートは、Windows Domain Name System(DNS)の脆弱性を修復するもので、以前からリリースが待たれていた。同脆弱性は「Windows 2000 Server」および「Windows Server 2003」に影響をおよぼす。Microsoftは2007年4月、同脆弱性が「限定的な」攻撃に悪用されていると警告していた。
Microsoftによれば、修復パッチが提供されたその他のゼロデイ脆弱性はInternet ExplorerおよびWordに存在しており、Wordのバグはサイバー攻撃に用いられているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ