オープンソース陣営による特許侵害を主張したマイクロソフトの狙いは? - (page 2)

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、福岡洋一 2007年05月29日 12時39分

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 Torvalds氏は、Microsoftがこの問題に正面から取り組もうとせず、(恐れ、不確かさ、疑念をあおる)FUD戦略を展開しているとして、同社を冷笑的に見ている。「もしわれわれが具体的にどの特許を侵害しているのか、Microsoftが実際に人々に訴えることになったとしたら、われわれは彼らの顔を見て笑い飛ばしつつ、先行技術を示すか、彼らの技術が自明のものであることを指摘するか、また別のやり方で何かすることになるだろう」と、同氏は述べている。

 法律事務所Eckert Seamans Cherin & Mellottの知的財産担当弁護士David Jenkins氏のように、もっと積極的に特許を調査する方がよいと確信している人もいる。たとえばMotorolaの場合なら、Linuxベースの携帯電話の出荷を開始する前に、おそらくLinuxに関する特許の問題を調査すべきだという。

 しかし、実際に実行するのは容易でない。また「特許の調査を試みるべき人がそう多いわけでもない」とJenkins氏は言う。

 「特にソフトウェア関連の特許など、米特許商標庁のウェブサイトから特許を探し出すことは、非常に難しい。どんなことであれ、誰もが同じ呼称を使うことなどほとんどない。・・・意味の広い語で検索すれば1000件もの特許が出てくるし、かといって絞り込んで探せば、多くの特許が抜け落ちてしまう」と、Jenkins氏は説明する。

 Eckert Seamans Cherin & Mellottでは特許侵害調査1件の料金は1000ドルとなっているが、精査を必要とする特許の数が多くなる調査の場合、価格はさらに上がるという。

 またJenkins氏でさえ、すでに調べた事柄について顧客が再調査を行い、最新の状況を把握しようとしたケースは、1件しか思い浮かばないという。調査の頻度は「特許の保有者がどの程度訴訟好きで、どの程度侵害を取り締まる気があるかによって決まる」と同氏は言う。

 Microsoftのケースを複雑にしているもう1つの問題は、特許侵害が珍しいことではなく、どこにでもあると広く認識されていることだ。「人々は常に他者の特許を侵害していながら、その対価を支払っていない」と、法律事務所DLA Piperの知的財産担当弁護士Mark Radcliffe氏は述べている。

 「私もこうして自分の椅子に腰かけていることで、おそらく誰かの特許を侵害しているだろう」と、Alfrescoの事業開発担当バイスプレジデントMatt Asay氏は指摘している。Alfrescoはオープンソースの企業コンテンツ管理(ECM)製品ベンダーで、「Microsoft SharePoint」と競合するサーバソフトウェア製品を手がけている。弁護士でもあるAsay氏は、Microsoftの知的財産権を侵害したくないと考えているが、同時に、Alfrescoが侵害しているかもしれないMicrosoftの特許について、Microsoftが率先して説明すべきだとも述べている。「(特許侵害があると)われわれが知るまで、そしてIBMやRed Hatが知るまでに、いったい何ができるだろうか?」

 ライセンス契約を結んでいない他社の特許について、いずれかのMicrosoft製品が特許侵害をしていると思うかという質問に、Microsoftは回答していない。また、Microsoftのプログラマーたちに対し、同社のソフトウェアが他社の特許を侵害しているか調べるよう命じているのか、同社の製品による特許侵害について定期的に調査しているのか、同社製品の出荷前に他社の特許を侵害していないことを確認しているのかという点についても、Microsoftは答えようとしない。

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