日立製作所は6月22日、赤外線センサーなどを使って社員のコミュニケーション頻度や活動状況を測定し、「地形図」として表示する組織活動可視化システム「ビジネス顕微鏡」を試作したと発表した。これまで目に見える形で把握するのが難しかった社員同士の相互影響を分りやすく表示し、「組織運営に伴うリスクの低減や生産性向上を図れる」(日立)という。
現在、電子メールなどの利用状況から組織内のコミュニケーション実態を推測するシステムの開発が進んでいるが、現場にいる社員個々人の感覚に頼るため、組織の状況について定量的なデータを得るのは難しいという。
ビジネス顕微鏡では、名札型をした無線通信機器に、赤外線センサー、加速度センサー、マイクセンサーを組み込んだ端末を利用してデータを収集する。社員にこの端末を装着してもらい、社員同士の対面時間や動作を測定、データ化する。データはネットワークを通じてサーバ上に収集して分析し、地形図を作成する。
組織全体は「島」の形で表現し、活発にほかの社員とコミュニケーションをとる社員は、地形図の内側に突き出した「岬」として描く。つながりの強い社員同士の集まりは島の内部の「山」として、等高線で示す。大きなグループは高く裾野の広い山、小さなグループは低く小さな山となり、これらがつながりあうグループ間の複合的な関係は「山脈」として表れる。
「従来の組織図では見えない組織の構造を、センサーの実測値のみを用いて画像化することで、動的な組織の変化が一目で分る」(同社)。日立は1月から社内で実証実験を行っており、今後は社外の組織へ実験対象を拡大する。