最終的にはFSFはその案を棄却したが、FSFは今でもこの問題に関しては、特に多くのオープンソースプロジェクトを利用しているGoogleに対し、監視を続けている。オープンソースソフトウェアに認められた特権を濫用するネットワークサービス事業者が現れた場合には、何らかの動きがあるだろう。
コロンビア大学ロースクール教授でありGPL 3作成を統率し、最近FSFの法律顧問に降格したばかりのEben Moglen氏は2007年5月の講演で、「自分のビジネスモデルを保護したいならば、その環境における模範的な存在である必要がある。そうしないならば、他の誰かの権利を保護するために自分の権利を制限する政治的な圧力が増大するだろう」と述べた。「Googleの行動に多くが依存している」(Moglen氏)。FSFは6月29日に15件のGNUソフトウェアコンポーネントがGPL 3の下でリリースされ、残りのGNUソフトウェアは数カ月のうちにリリースされると述べた。しかし慎重な姿勢を見せる企業もある。
MySQLのコミュニティ担当バイスプレジデントであるKaj Arnö氏は、データベースソフトウェア「MySQL」をGPL 3下へ移行することを決断するための主な判断材料は、新しいバージョンが採用されるかどうかであると述べた。
Arnö氏は「条項に多くの変更があったことはうれしく思っている」と述べた。「これが採用されるかどうかは、まだ様子を見る必要がある。GPL 3については、まだ質問が多く挙がっている。われわれはそれらの質問に最初に回答する立場にはなりたくないと思っている」(Arnö氏)
GPL 2を使って「Java」と、異例ではあるが「UltraSparc T1」プロセッサ設計を管理するSun Microsystemsは、まだ同ライセンスを評価中であると同社チーフオープンソースオフィサーであるSimon Phipps氏は述べた。しかし同氏は、GPL 3は「強力かつ市場を変化させる文書である」と述べている。
ソフトウェアを作成する人々にはさまざまな思いがあるが、オープンソースソフトウェアを利用するだけの人々にはGPL 3はすぐに受け入れられることになるだろうと、Hunton & Willamsの弁護士として知的財産を専門とし、現在Linuxを利用する大企業の数社の法律アドバイザーを務めるJames Harvey氏は述べる。「エンドユーザーは、このライセンスを利用するにつれ、慣れてくるだろう。そして、これが、彼らが利用するオープンソースにおける新たな主要ライセンスとなるだろう」と同氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ