「PHP 4」のサポートが2007年末で終了へ

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、小林理子

2007-07-18 01:22

 リリースから7年たった今でも人気の高いオープンソースのプログラミング言語「PHP」のバージョン4(「PHP 4」)が終わりを迎えようとしている。PHPは、オンラインカタログや検索結果一覧のような、カスタマイズしたウェブページを、サーバ側で生成させるために使用されるスクリプト言語だ。

 「PHPの開発チームは、PHP 4のサポートを2007年末で打ち切ることをここに発表する」と、PHPプロジェクトの事務局は、米国時間7月13日にPHPのウェブサイト上に掲載した。ただし、「重大なセキュリティ上の修正については、ケースバイケースで引き続き2008年8月まで対応する」としている。

 この発表が行われた日は「PHP 5」がリリースされてから3年目にあたり、プロジェクトに関わるプログラマーは、次期バージョン「PHP 6」に重点的に取り組みたいとの意向を示した。なお、PHP 4は2000年リリースされている。

 「今回の発表によって、エコシステム全体が足並みをそろえて前進することになる」と、PHPの商用化サービスを手がける新興企業Zend Technologiesの共同設立者であり共同最高技術責任者(CTO)でもあるAndi Gutmans氏は述べる。同氏の言うエコシステムには、PHPを構築する人、PHPを直接利用する人、「Drupal」や「Joomla!」などの上位アプリケーションでPHPを利用する人、それに顧客がPHPを利用するウェブサイトのホスティング業者などが含まれる。PHP 5は、「Webサービスのサポート、Ajax、XML、オブジェクト指向プログラミングなどといった、最新のWebアプリケーションを構築するという課題に応えるものだ」とGutmans氏は語る。

 しかし、Microsoftが「Windows Me」と「Windows NT 4」のサポートを打ち切ろうとしたときがそうだったように、広く普及したソフトウェアを引退させるのは難しい場合がある。PHP 4が途中で放棄されるのを歓迎しないユーザーもいるからだ。

 「PHP 5は、導入実績という点からみると完全に失敗している。ほとんどの調査で、PHP 5の導入率は一桁台かせいぜい10%台の始めのほうにすぎない」と、PHPを使用するブログ作成ソフトウェア「WordPress」とそのサイトの設立者であるMatt Mullenweg氏は、自身のブログに記している。「PHPの中心にいる人々は、うまくいっていない製品の需要を拡大するために、厳しい問いかけの答えを見いだそうとするかわりに、成功した製品を抹殺しようと決心したらしい。答を求めるべきは、PHP 4をあれほど成功に導いたものは何か、(中略)同じくらいのユーザーをPHP 5に移行させられなかったのはなぜか、PHP 6で取り組んでいることはその中心的ユーザーにとって重要なことなのか、それともたんに「よい」言語という問題を解くだけのことなのかということなのだ」と、Mullenweg氏は批判している。

 これに対してGutman氏は、16日の取材に答えて、PHP 4の導入率に関する統計データに異議を唱えている。同氏によれば、Zendの顧客ベースの80%はすでにPHP 5に移行しており、PHPのコミュニティーはPHP 4のサポート終了時期をいつにするかという問題について「慎重すぎるほど」だったという。

 「われわれの見たところでは、積極的に開発を行っている人はみなすでに移行を済ませている。統計データの数値は、PHP 4ベースのレガシーアプリケーションがたくさんあるために歪められてしまっている。そういったアプリケーションは現状のまま稼働しているので、誰も変更したがらないからだ」とGutman氏は主張する。

 PHP利用サイトとして代表的存在のYahooとFacebookもすでにPHP 5に移行しているが、PHP 5の方がパフォーマンスに優れているからというのも移行理由の1つになっていると、Gutman氏は語った。

 「Yahoo内では、PHP 4の終結は公式日程よりはるかに早くに宣言されている」と語るのは、PHPのオリジナルの制作者で、現在はYahooのプログラマーを務めているRasmus Lerdorf氏だ。

 PHP 4のサポート終了は実際上の必要性に迫られたものだとLerdorf氏は説明し、「われわれのようなオープンソースプロジェクトでは、リソースが限られている。PHP 6に取り組みながら、3つの異なるバージョンのPHPを同時にサポートできるほど人員がいない」と述べた。

 Gutmans氏はまた、PHPは変化し続けてはいるが、今も第一に配慮しているのは使い勝手だと論じる。「PHP言語を拡張し、WebサービスやAjaxなどの新しい流れに対する適応を高めること」も重要なのは確かだが、「われわれにとって第一の目標は使いやすさ」だとGutmans氏は言い、「われわれは、つねにこういった点のバランスをとって行かなければならない。だが、決断を下さなければならない局面では、いつも使いやすさのほうが重視される」と結んだ。

 PHP 4のサポートを打ち切る理由の1つは、PHP 6に重点的に取り組むためだ。Gutmans氏によれば、PHP 6のリリースはだいたい1年後の予定だという。

 PHP 6の特徴の1つは、国際的な対応がこれまでより充実することだ。とくに、ローマ字だけでなくアラビア語、韓国語、中国語など多くの言語を含むUnicode文字への対応が行われる。また、もう1つの特徴として、セキュリティも強化される。

 「対応をやめる決定をした機能もある。セキュリティ上好ましくない動作につながる恐れがあると考えられるものだ。われわれは簡単にできる移行方法を、ユーザーにわかりやすく伝えるつもりだ」とGutmans氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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