VMwareが「VMware Fusion 1.0」を正式リリースしてから、まだ数週間もたっていない。これで、Intelベースの「Mac」上で「Windows」アプリケーションを動作させる方法が4種類も揃った。Fusionは、SWsoftの「Parallels Desktop for Mac」と同様に仮想化テクノロジを使用し、Windowsオペレーティングシステム(OS)を1つの仮想マシンとしてMac OSと同時に稼動できる。CodeWeaversの「CrossOver Mac」は、オープンソースAPIである「Wine」に基づく仮想化アプローチを使用する。Wineは、Windowsオペレーティングシステムのインストールや起動なしでWindowsアプリケーションを個別にMac OS上で使えるようにする。
現在、Mac上でWindowsを稼動させる最も簡単で一般的な方法は、おそらくAppleが自ら提供する「Boot Camp Public Beta」を使うことである。今のところ、Boot CampはWindowsをネイティブとしてMacで動作させる唯一の方法だが、Windows OSに直接ブートする必要があり、この間は(Windows OSを終了してMac OSで再ブートするまで)Mac OSにはアクセスできない。
我々は、WindowsアプリケーションをIntel Macで動作させる選択肢すべてについて、パフォーマンスを比較したいと考えた。そこでCNET Labsが、そのシステムテスト手法をMac OS X 10.4.10をインストールしてある8コア、2.66GHzのMac Proに適用してテストを行なった。使用したのは、Boot Camp 1.3 Beta、CrossOver Mac 6.1.0、Parallels Desktop 3.0 for Mac(4560)、Fusion 1.0(51348)である。Boot Camp、Fusion、ParallelsにはWindows Vista Ultimateをオペレーティングシステムとして使用した。FusionとParallelsは、システムメモリ1024MB、ハードディスク32GB、グラフィックメモリはそれぞれサポート可能な上限(Fusionは128MB、Parallelsは64MB)に設定した。
(バーが短いほうが高性能) 注:Apple QuickTime 7.2とApple iTunes 7.3.2.6を同時稼動
マルチメディアマルチタスキングテストは、我々が行うテストのなかでも最も過酷なテストである。フォアグラウンドで「QuickTime」ビデオのエンコーディングを行い、同時にバックグラウンドで「iTunes」を使って音声のエンコーディングを行う。このテストでは、Boot Campによりネイティブとして稼動するWindowsで同じことを実行した場合と比較すると、Fusionのパフォーマンスが大幅に遅かった。それでも、FusionはParallelsより3.5倍以上速かった。Fusionがこのテストで速かった主な理由の1つは、Fusionが最大2個のCPUコアをサポートするのに対してParallelsはCPUコアを1個しかサポートしないためである。それぞれ8コアが利用可能なMac OSとBoot Campのパフォーマンスが裏付けるように、このテストは複数のCPUを利用できるほうが大いに有利である。