サンフランシスコ発--仮想化技術を扱うSWsoftの子会社で、「Mac OS X」マシンでもWindowsプログラムを稼働可能にする仮想化ソフトウェアで有名なParallelsが、サーバ市場に参入しようとしている。
Parallelsでコミュニケーション部門担当ディレクターを務めるBenjamin Rudolph氏が米国時間9月13日、「VMworld 2007」で語ったところによると、同社の新製品となるソフトウェア「Parallels Server」はまだアルファ版の段階だが、4週間ないし6週間のうちにベータ版を公開する計画だという。最終製品の出荷開始は2007年末か2008年の初頭になる予定だと、同氏は説明した。
しかし、世の中はさらなるハイパーバイザを必要としているのだろうか(ハイパーバイザとは、1台のコンピュータをバーチャルマシンと呼ばれる複数のコンパートメントに分け、複数のOSを稼動させるもので、仮想化のベースとなる技術だ)。すでに市場には圧倒的優性を誇るVMwareの製品があり、その他にも競合するXenSourceのオープンソース製品「Xen」シリーズや、Red Hat、Novellなどの製品がひしめいている。さらに、2008年にはMicrosoftも「Windows Server 2008」向けの仮想化ソフトウェア「Viridian」(開発コード名)のリリースを計画している。
この点については、Rudolph氏も懸念はあるという。しかし、Parallelsは、現時点でまだ仮想化を試していない中小企業を当初のターゲットとし、そこから市場を拡げていきたい考えだ。こうした企業にとっては「Xenは複雑すぎるし、VMwareは余計な機能が多すぎる」とRudolph氏は述べている。
さらに、Parallelsは仮想化の枠組みに新たな要素を加えていきたいと考えている。同社は、OS下で行うハイパーバイザをベースにした仮想化と、SWsoftのソフトウェア「Virtuozzo」が行っているコンテナレベルの仮想化との密接な接続を実現したいという。Virtuozzoは、1つのOSを多数の仮想環境に分割して仮想化を行う。
この接続機能は、バージョン1.0の段階ではParallels Serverに搭載されないが、後継バージョンでは、顧客がVirtuozzoのOSコンテナ内で稼働しているシステムを、そのままParallels Serverのハイパーバイザ式バーチャルマシンに移植できるようにする計画だと、Rudolph氏は語る。
しかし、Virtuozzoとの接続を強化すれば、親会社に対する明らかな挑戦となる。SWsoftで最高経営責任者(CEO)を務めるSerguei Beloussov氏は、長年にわたりコンテナ方式の仮想化のほうがハイパーバイザ方式のテクノロジより効率も性能も良いと主張して、コンテナ方式の仮想化にこだわってきたからだ。
同じくVMworldの席上で、SWsoftは「Virtuozzo 4.0」のベータテストを開始したことも発表した。Virtuozzo 4.0はリアルタイムのバックアップ機能や、管理業務におけるサーバのグループ化作業の利便性を高める、新しい管理インターフェースなどを装備する。Rudolph氏によると、Virtuozzo 4.0は2007年の終わりか2008年の初めごろリリースの予定だという。
Parallelsは主に消費者向けの製品を作ってきたが、親会社であるSWsoftの市場における存在感を利用してサーバ市場への参入を果たしたいと、Rudolph氏は語っている。