時代にあったソフトを開発
システムインテグレータの創業者で社長である梅田弘之氏は、日本のソフトウェア・エンジニアとして著名な存在。まだERPという言葉もない時代に、統合業務パッケージとうたって初の国産ERPソフト「ProActive」を開発している。もともとは東芝のプラント関係のエンジニアで、コンピュータを利用したプラント監視・制御を行っていた。その後、1989年に住商情報システムに移籍し、このProActiveを企画して自ら開発した。
「パッケージビジネスで成功したので、もっともっと新しいパッケージを作っていこうと思ってシステムインテグレータを立ち上げたのです。1つの分野に特化している多くのパッケージソフトベンダと異なり、私たちは分野を問わずその時代にあった製品を次々に出していこうという考え方を持っていました。これは、ソフトの世界だと珍しいことかも知れませんがハードの世界では当たり前で、その意味で私たちはハードメーカーに近い戦略を目指しているのかも知れません」
現在創業13年を迎え、同社が提供するソフトウェア製品はデータベース関連の設計・開発支援ソフト「Object Browser 」やECパッケージ「Web Shopping」など多彩だ。このように広い分野で製品群を持つというところが、システムインテグレータの大きな特徴といえる。
その多彩なソフトウェア群を生み出す基盤は、データベースやウェブの技術だという。梅田氏は「ウェブとデータベースの組み合わせでは日本のソフト会社としては“老舗”の部類に入る」と新技術への取り組みの速さを語る。同時に、その技術力が商品化の源泉だとしながら、「しかし、真の差別化要因はパッケージ作りのノウハウです」ともいう。
「機能がたくさんあればいいパッケージかというとそうではありません。シンプルで使いやすい方がよいし、またどんなによいパッケージでもマスターするまでに時間がかかるようだと普及しません。販売面についてもマーケティングの仕方などノウハウがあります」
海外のERPなどは豊富な機能を持ち、それをパラメータで使うというようなものが多い。機能比較をするとほとんど○印がつくようなソフトだが、往々にしてこうしたソフトは使いにくいという。
「機能を捨てることが大事」というのが梅田氏の持論だ。それができるかどうかがパッケージ作りのノウハウだという。そのノウハウで、同社の現在の製品であるECサイト構築パッケージ「Web Shopping」やウェブ対応のERP「GRANDIT」など、それぞれの分野で国内初というソフトを次々と開発している。