JavaFX Mobileは、Sunが2007年5月にJavaOneカンファレンスで発表したJavaFXと呼ばれる多面的取り組みの一要素だ。
Gosling氏によると、「JavaFXはおそらく、Sunがこれまでに推進してきた中でも最大かつ最も複雑なソフトウェアエンジニアリングプロジェクトだろう」ということだ。ここでJavaFX構成要素の概要を簡単に説明しておこう。
JavaFX用語の概要
よほどのJavaオタクでない限り、あるいは実際にオタクであっても、Sun関連の最新用語についていくのは容易ではない。たとえばJava SE。この用語は約10年前から使われており、その意味はおおむね把握されるようになった。数年前にバージョン番号の付け方をめぐる混乱があったものの、Sunは現行のバージョンをJava SE 6とすることで問題に決着をつけたようだ。それでは、ここから話を広げてみよう。
まずは、「Consumer Java Runtime Environment(JRE)」から名称変更された「Java SE 6 Update N」。このソフトウェアの目的は、Javaを使ったウェブページを処理するためのウェブブラウザ向けプラグインを改善することによって、平均的なコンピュータユーザーにとってJava SEをさらに使いやすくすることだ。
Update Nの機能をいくつか紹介しよう。Update Nでは、コンピュータの起動時にJavaをプリロードすることによって、Javaを使ったウェブページを表示する際に耐え難いほどの遅延が発生するのを防ぐことができる。また、動作を開始するために必要な最小限のカーネル(通常は4Mバイト未満)しか読み込まないため迅速なインストールが可能で、最大サイズの12Mバイトまで各種Javaソフトウェアを自身で更新する。さらに、「Windows」の「Direct3D」グラフィック機能も利用できる。グラフィック要素を駆使した最新式のユーザーインターフェースにより、OSが異なっても見た目を統一することができる。
SunのJava SEクライアントアーキテクトであるChet Haase氏によると、Update Nは2007年12月にベータテスト段階に入り、その数カ月後に入手可能になる見込みだ。
次に取り上げる「JavaFX Script」は、一般的に利用されているウェブブラウザスクリプト言語である「JavaScript」では作成するのが難しい、たとえば透明効果などの特殊なユーザーインターフェースアクション専用に開発された新しいスクリプト言語だ(ちなみにJavaScriptは、その名前に反してJavaを基盤としていない)。Gosling氏によると、JavaFX Scriptはエンジニアリングよりデザインタイプの用途に向いている。