もちろん、スクリプトはそれを解釈するためのツールがなければ使い物にならない。そこで、開発者が記述したコードをコンピュータが実行できる命令に変換するのがJavaFX用コンパイラである。
最後に説明するのは、前述したJavaFX Mobileである。このソフトウェアは、開発基盤の統一化を求めるJava ME開発者の要望に応えるかたちで開発されたものだとGosling氏は述べている。Java MEとのもう1つの違いは、事前に記述済みのバイナリプログラムとしてSunから提供される点だ。Java MEの場合はソースコードで提供されるのが一般的であるため、プログラマーは必ずコンパイルしなければ使えない。
激しい競争へ
Gosling氏とJavaはこれまで、リッチインターネットアプリケーションを先駆的に推進してきた。リッチインターネットアプリケーションとは、ウェブブラウザで稼動しながら簡素なウェブページよりも見た目のよい、豊富な機能を備えたソフトウェアのことを指し、かつての勢いを再び取り戻しつつある。
Javaはサービスを提供するためのソフトウェアやゲームを携帯電話上で実行するための手段として盛んに利用されてきたが、ウェブブラウザを高度なソフトウェア実行基盤に生まれ変わらせることがJavaのそもそもの目標のひとつでもあった(この場合、NetscapeがMicrosoft Windowsを相手取り、米独占禁止法に基づく提訴に発展したときと同じことが再び繰り返される可能性もあるのかもしれない)。
ところが、リッチインターネットアプリケーション実現に向けた動きが見受けられるのは、主に「Ajax」や「Adobe Integrated Runtime(AIR)」(コードネームApollo)、Microsoft「Silverlight」、「Google Gears」などのソフトウェアである。
それにもかかわらずGosling氏は、ユーザーインターフェースのリッチさや高速な処理、高い信頼性を持ち広く受け入れられている言語、コンピュータがネットワークから切断された場合の優れた対応などの利点を挙げ、JavaFXにも勝算があると考えている。
さらにGosling氏は、JavaFXの有利な点としてセキュリティも挙げている。AdobeのAIRは通常のPCソフトウェアのようにプログラムを機能させることができるが、Gosling氏はこのアプローチを賢明だとは考えていない。「ウイルスを繁殖させる培養皿のようなものだ。セキュリティを確保するのは極めて難しい」(Gosling氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ