FTCの委員であるJon Leibowitz氏(民主党)は、「現時点では」米政府がそのような措置を強制する必要はないと語った。しかし、同氏自身は、オンラインサービス企業はユーザーに「より意味のある選択肢」の提供を開始する必要があると考えている。例えば、コンピュータのウェブクッキーの初期設定について、ユーザー自身が設定を解除する従来の「オプトアウト」方式ではなく、ユーザーがクッキーを有効にするかどうかを選択できる「オプトイン」方式に改めることなどだ。追跡ツールを使って収集した情報をサードパーティーと共有するサイトが急増する中、こうしたオプションは特に重要だ、とLeibowitz氏は語った。
FTCが2日間の日程で開催した行動マーケティングに関するワークショップで、Leibowitz氏は開始早々に講演を行い、「オンライン上でのプロフィール追跡に関する現在の『言わざる、聞かざる』という考え方は終わらせる必要がある」と指摘した。
また同氏は、いずれにせよ、FTCは、ある企業が行動マーケティングに関して「問題ある行動」を取った証拠がある場合には、ためらい無くその企業を提訴する、と語った。行動マーケティングの分野は次第に巧妙化しつつあり、企業は、検索結果など、消費者のインターネット上での習慣の追跡結果を基に作成した広告を配信することを目指している。
Leibowitz氏は、「インターネットが進化してくるにつれ、ターゲティング広告は巧妙になってきた。それらが、消費者により大きな利益と、より豊かな経験をもたらしたのは間違いないだろう。しかし、問題はそのために一体われわれがどれだけの代償を払っているかという点だ」と述べ、さらに「われわれがプライバシーのために払っている代償は高すぎるのではないか」と付け加えた。
オンライン広告業界は、当然のことながら、プライバシーに対する潜在的脅威については認識しているとしながらも、自主規制こそがそれらに対する最善の対処法だと主張している。
ネット広告業界団体Interactive Advertising Bureau(IAB)の会長を務めるRandall Rothenberg氏は、ワークショップの出席者に対し、(ネット企業にとって)負担の大きい政府規制は、新サービスの提供を阻害する可能性があると訴えた(News.comの親会社であるCNET NetworksもIABに加盟している)。同氏はその理由として、「人々の関心や消費のパターンを発見するための個人の特定が不可能なデータ」の分析は徐々に高度化しており、そのデータ分析が、双方向かつ多くの場合無料のコンテンツの急増につながり、さらに、米国の小規模店舗の「復活」に貢献してきた、と指摘した。