--Sun Microsystemsは携帯電話市場でどういう役割を果たしているとお考えですか?
わたしたちはJavaによって、市場で最も広く普及したプログラミング環境を提供しています。製品化される新しい携帯電話のうち、90%以上にJavaが搭載されています。つまり、携帯電話の90%以上がJava対応であり、毎年10億台近いJavaデバイスが出荷されているはずです。また、「JavaFX Mobile」というものも発表しました。これは、Java携帯電話スタックのカスタマイズと構築を希望するすべての携帯電話メーカーや通信事業者が採用することができる、オープンソースのJavaによる初めての包括的な携帯電話スタックです。これはオープンソースなので、誰でもコードを提供できます。また、Open SolarisやOpen SPARCで行ったように、Java携帯電話についてもコミュニティーを築くことができると考えています。
--シンクライアントを推進してPCをスクラップにさせようという計画は、あまりうまくいきませんでしたね。今でもシンクライアントが普及するとお思いですか?
当社の「Sun Ray」シンクライアントは、6月の年度末で前年比98%成長し、第4四半期は102%成長して年度を終えました。社内で最も急成長している製品ではないでしょうか。
--Jonathan Schwartz氏は10月の始めに、一部の事業部門を再編して、Sun Microsystemsのストレージ製品とサーバ製品の組織をSun Systemsという名前の新しいグループに統合する予定だと発表しました。これはストレージ事業部門の業績と何か関係があることでしょうか?
CEOは再編を行うものですし、それがCEOの役目です。再編は、組織が何を開発、販売するかや、どのようなサービスやサポートを提供するかとは無関係です。そのことで皆さんいろいろと書き立てますがね。Sun Microsystemsはデータセンターに必要なものを供給するという方針を終始貫いてきました。そのために組織をどう編成するかは、あまり重要ではありません。そうした記事は、楽しい読み物としては役立つでしょうが、暇な人のための読み物ですね。
Jonathanは間違いなく、また再編を行いますよ。わたしは22年間彼の立場にいたから分かります。わたしも何度もしました。製品のラインアップを変更していない組織での再編は、Sun Microsystemsもそうですが、通常は戦略の変更というより、チームのプレイヤーに関するものになります。クォーターバックが良ければパスを多く使いますし、ランニングバックとラインがよければランを多用します。プレーを開始するラインでどのような陣形を取るかが、戦略の変更があることを示しているとは限りません。
--CEOのポストを退いて会長になってから18カ月ですよね。企業の日々の運営に携わらない生活に慣れるのは難しいですか?
今、ひどい時差ぼけで、明日の午後2時ごろ家に着く予定です。家に帰ってスタッフミーティングを行い、仕事から離れて週末を過ごす必要があっても、そうできるほどの時間はありません。ですからわたしにとっては、CEOの仕事をしないことに慣れるのが難しいのではなく、会長の仕事をしていることが大変だという理由で、実際にはCEOでいるより会長である方が大変なのです。メッセージを広く伝えるために出張し、重要な顧客の世話をするという、会長としての仕事と機会は十分にあります。
CEOだったときに、自分の今の仕事をする人をなぜ置かなかったのかと疑問に思うことが、唯一の問題点でしょうか。Jonathanはラッキーですね。わたしは22年間、会長、社長、兼CEOでした。ですから、飛行機で飛び回って講演などをすべて行うために飛行機事故に備えた替え玉を置くこともありませんでした。わたしはスピーチの準備やそれに伴う仕事を一切他人にやらせたことがないですから、Jonathanは企業の日々の業務に集中できますね。