ネット経由のセミナーというのならば、参加者が見たい時に見られるオンデマンドでのダウンロードあるいはストリーミングという手法も存在しないわけではない。しかし、「ライブで配信する価値が評価されている」と間下氏は、リアルタイムのウェビナーの価値を強化している。
「やはりライブでの映像による臨場感や質疑応答は、参加者に満足感を与えている。オンデマンドと比較すると、事実、ライブの方が視聴率が高い。また、ウェビナーの受講者という点でも、ライブはオンデマンドの2〜3倍になっている」(間下氏)
ネットを経由した動画配信は確かに拡大しており、閲覧できる端末はPCのほかにも携帯電話やゲーム機、テレビにも広がっている。今後は、さまざまなネット端末に適した動画配信サービスが同時にリアルタイムに提供されるようにもなるだろう。そうした視点で考えたときに、今回のサービスがもたらす意義は過小評価できない。PCと携帯電話の両方に同時に、しかも最大50万人までに配信できるからだ。これまで特殊だった携帯電話へのライブ映像配信を、ネット経由でPCと同時に動画配信できるようになったのだ。
しかし、携帯電話でのウェビナーは今後、普及していくのだろうかという疑問を感じる読者もいるだろう。大きくなっているとは言え、PCのモニター画面と比較すると、どうしても小さいと感じられるだろう。
こうした疑問、つまりは携帯電話でのウェビナーの普及可能性について間下氏は「携帯電話での受講者は今後全体の2割になるのではないかと見ている」と話す。「企業内でも外回りがメインの社員がいて、そうした方が社内セミナーを受けるという点でニーズがあると思っている」と見ている。こうした見方には小俣氏も「ECの3割が携帯電話ユーザーであることを考えると、そうした見方は外れではないと思っている」と同意している。
「デパートなどでの化粧品の販売する人たちは、新しい商品情報を得ることを考えると、携帯電話の方が手間がかからないだろう。また、保険外交員の人たちも、事務所によるよりも携帯電話で新しい情報を獲得する方が手っ取り早いと思える」(小俣氏)
PCでの利用がようやく盛り上がりを見せるウェビナーだが、今後は携帯電話での利用も活発になる可能性を秘めている。