米国のストレージ市場で、EMCとNetAppという2大陣営の戦いに突如加わってきたのがONStor(オンストア)だ。製品出荷はわずか3年前だが、既存のストレージを統合する「オープン・ストレージ・ソリューション」を核に、SAN対NASという既存のストレージ市場の図式を塗り替えようとしている。同社の創業者であり、CEOのBob Miller氏にストレージ市場が抱える問題点と今後の戦略を聞いた。
課題が山積するストレージ市場
--データやトランザクションが爆発的に増大しています。
大量のデータを扱うSNS、 YourTubeのようなVOD、iTunesなど新しいアプリケーションが次々と生まれてきています。加えて、9.11の同時多発テロを契機に、多くの企業ではプライマリサイトの完全な重複版としてリモートでデータのバックアップサイトを設けるようになってきています。メッセージングの急激な増大も見逃せません。現在、世界で約20億台の携帯電話が稼働していると言われていますが、それに対するファイルサービスを提供するためのストレージも必要です。
また、私どものお客様の中では、地球物理学的なマッピング手法を用いた情報を取り扱っている企業もあります。Google Earthのように空中から連続して写真を撮影し、地図を作っていくというものですが、これなどは4〜5ペタバイトくらいのストレージ容量が必要になってきます。
5年前には、これらのビジネスは経済的に成り立つものではありませんでした。ストレージの進化によって、このようなことが可能になってきているわけです。
--しかし、ストレージの進化は、CPUやネットワークの進化に追いついていないという指摘もあります。これについてはどう考えますか。
以前のように、1Gバイト程度の容量を管理するなら、それほど苦労はありません。しかし最近のように100Tバイトのデータを管理するというのは非常に大変なことです。同時にこうした大容量データをどうバックアップするかという問題に対応するには、非常に高度な技術が求められます。
今日、ストレージには信用性と可用性が求められています。さらに、データセキュリティとデータプロテクションも必要になってきているのです。さらに、私は個人的にも地球の環境問題に懸念を抱いていますが、これは非常に深刻な問題であり、IT業界もこの問題には重大な関心と責任を持つ必要があると思っています。
ストレージでも電力消費の問題、省スペースの問題に取り組む必要があります。つまり、ストレージが進化していないのではなく、ストレージを取り巻く環境に、課題が山積しているのだと思います。