マカフィーは11月20日、「タイポスクワッティング」と呼ばれる危険なサイバー行為に焦点を当てた研究報告書「2007年タイポスクワッティングの現状」を発表した。タイポスクワッティングとは、「つづり間違いのドメイン名の不正占有」の意味で、入力ミスしやすいURLアドレスにユーザーをだますサイトを設置する行為。
マカフィーでは、研究範囲を数値化するため最も一般的なドメイン名の2771件を変形した190万の名前を調査。その結果、最も害がないものでも、ネット利用者を予期しないサイトに誘導したり、正規サイトの運営者から利用者を取り戻すための支払いを要求したりして、一般企業に不利益をもたらすものであった。最悪の場合は、オンライン詐欺や「一攫千金」の儲け話などの危険をもたらす。
研究では、最近のタイポスクワッティングの一例として「iPhoneマニア」を挙げている。このアップルの新しい携帯電話が市場に登場したのはわずか数カ月前だが、2007年末までに「iPhone」という言葉を使ったURLは8000件を超えると予想されている。iPhoneという言葉を使ったサイトには、ファンサイトやクチコミサイトだけでなく、ハッカーや詐欺師によって運営されるサイトもある。
主な研究成果として、「人気サイトのURLのスペルミスでは、14回中1回の割合でタイポスクワッターのサイトにアクセスする可能性がある」「特にターゲットになっているのが子供向けサイトで、不法占拠されている上位100サイトのうち60以上が18歳以下の年齢層をターゲットにしており、タイポスクワッターはwebkinz.com、clubpenquin.com、neopets.comなどのドメインをターゲットにしていた」などを挙げている。
また、タイポスクワッターの中には、スペルミスを利用して子供にポルノを見せるものがあった。検証した全タイポスクワッターサイトの2.4%、4万6000件以上にアダルト系のコンテンツが含まれており、中には子供向けサイトの不法占拠もあった。なお、多くのタイポスクワッターサイトは、自動広告サービスを利用して収入を得ており、今回の研究では、ある検索エンジンの広告がタイポスクワッターサイトと思われるサイトの19.3%で表示された。
米国以外で有名サイトの不法占拠の割合が最も高かった国は、イギリス(7.7%)、ポルトガル(6.5%)、スペイン(5.9%)、フランス(5.4%)、イタリア(4.1%)。一方、不法占拠の割合が最も低かった国は、オランダ(1.5%)、イスラエル(1.1%)、デンマーク(1.0%)、ブラジル(0.9%)、フィンランド(0.1%)となっている。