MicrosoftとSambaは、各自のソフトウェアの相互運用性を確保しようとしながら長年意見が一致しなかったが、ついに合意に至った。そして予想通り、米国時間12月20日に明らかにされたライセンシング協定について、各ベンダーはかなり異なる解釈を示している。
Sambaがその Unix/Linuxのファイルまたはプリント共有製品がWindowsで適切に機能するために必要だとするMicrosoftプロトコルのドキュメンテーションを引き渡すために、 仲介機関のProtocol Freedom Information Foundation(PFIF)が使われた。PFIFはSoftware Freedom Law Centerが創設した非営利団体である。
12月20日の報道発表によると、SambaはMicrosoftに1万ユーロを1回支払い、その後PFIFがSamba Teamに対し、非公開ベースで「欧州連合(EU)の決定によりカバーされたワークグループサーバプロトコルの全ての配備に必要とされるドキュメンテーション」を提供するという。(ここでEUの決定とは、欧州委員会がMicrosoftに対して2004年に下した独占禁止法違反の決定をMicrosoftが覆そうとしたが退けられたことを言っている。)
予想通り、SambaとMicrosoftは20日のニュースについて、かなり異なる解釈を示していた。
SambaとPFIFは、今回の合意をフリーソフトウェアプロジェクトの勝利と特徴づけた。またMicrosoftが、EUの独占禁止法違反事件の条件の一部としてこのプロトコル情報を引き渡すことを欧州委員会により要求されたのだということを観測者に思い出させた。 Sambaはまた、今回のMicrosoftとの合意は、SambaがMicrosoftの特許を侵害していたと認めることを意味しているわけではないと強調した。
Sambaの共同創業者であるJeremy Allison氏の発言が、報道発表のなかで以下のように引用されていた:
「入手した情報は、Sambaを引き続き開発し、さらに多くのFree Softwareを作成するために利用することができる。わが社は、これらのプロトコル情報を共有していた1990年代初期のようにMicrosoftとの生産的な関係を取り戻すことを願っている。今回の合意ではまた、関連する具体的な特許番号が明らかにされるため、この問題について誤解が生じる可能性がなくなった」
他方でMicrosoftは、今回のSambaとのプロトコル協定を、もっと打ち解けた雰囲気で表現していた。
MicrosoftのPort 25ブログでは「驚いたなら、注意が足りないということだ」と題する記事で、Microsoftのプラットフォーム技術戦略ディレクターを務めるSam Ramji氏が、最近のSambaとMicrosoftの協力関係を強調した。
Ramji氏は、Microsoftが最近Microsoft Developer Network(MSDN)Premiumのサブスクリプションを、Sambaのコアチームに対して寄付したこと、彼らとテストベッドを構築したこと、テスティングツールを共有し始めたこと、そしてMicrosoftのソフトウェアとの互換性継続を確保するためにCIFS Unix Extensionsの保護に取り組んだことを指摘した。
Ramji氏は、Sambaの幹部と協力し、Microsoftのプロトコル共有義務を果たし 、Sambaを満足させるような合意内容を打ち出したという。同氏の12月20日のブログ記事から以下を引用する:
「条件は良かった。しかしSambaチームはMicrosoftが、Sambaの開発者コミュニティの既存慣行に完全に準拠するために、いくつかの変更を加えるよう望んだ・・・両社の弁護士と技術者(いつもながら妙な組み合わせ)は言葉の精選と、それを明確で協力的に実施するために苦労した。
「これ(Sambaのライセンス協定)が、Sambaの開発プロセスを大幅に向上させ、WindowsとLinux/Unix環境の間の相互運用性の質を高めると期待している。・・・このプロセスから学んだのは、われわれが技術に注力し、忍耐強く、熱心に実行すれば、共に本当に進歩することができるということだ」
今回の合意をどのように解釈するかはさておき、Microsoftは今回、欧州委員会が3年前に規定した内容を実践することになった:オープンソースまたはフリーソフトウェアコミュニティに対する差別とならないように、プロトコル情報を共有するということだ。
20日のSambaライセンス協定の発表の詳細については、News.comのStephen Shankland氏の記事もチェックしてほしい。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ