--しかし、一般ユーザーにもそうしたことは必要です。一般ユーザーも、メールシステムやFacebookがダウンしないでほしいと思っています。
Benioff:確かにそうですが、一般ユーザーは企業と比べてそうした事態に寛容です。私たちの開発対象の多くは、顧客が費用を負担してくれ、一定の信頼性に対して代金を支払ってくれるアプリケーションなのです。あり得ない話だと言っているわけではないのですが、結局のところ、次のFacebookがSalesforce.comのプラットフォームをベースに開発される、といったことはこれまでなかったのです。
--ブランド名についてはどうでしょうか。Salesforce.comのままにするおつもりですか。
Benioff:それは、絶えず検討している問題です。私たちはこれまで多額のお金をつぎ込んできました。Salesforce.comブランドの資産的価値は非常に大きいのです。
--景気の減速や後退についてはどうお考えですか。こうした状況はテクノロジ企業にとってどのような意味を持つでしょうか。
Benioff:今のところ、景気後退の影響を受けていることを示す具体的な数字や声明を発表したテクノロジ企業はありません。たぶん、いつかは目にすることになるでしょうが、私にはわかりません。景気後退については誰もが記事で読んだりCNNニュースで目にしたりしますし、ご存じのように株価は200ポイントも下落しています。ですから、誰もが気にかけているのだと思います。でも、これまでのところ、景気後退が問題になっていると発表したテクノロジ企業はありません。
--不確定要素の多いこのような経済情勢によって、SaaS製品は販売しやすくなるでしょうか、それともしにくくなるでしょうか。
Benioff:SaaSの強みは、どんなものであれ、ソフトウェアと比べてリスクが少ないことです。従来型のソフトウェアモデルだと、ユーザーはソフトウェアを購入してから実装を試みますからね。リスクはすべてユーザーにかかるわけで、つまり先行投資するようなものです。しかし、SaaSは従量料金制なので、リスクが時間的に分散されます。何らかの理由でうまくいかなかった場合も、従来型モデルの場合ほど深く踏み込んではいません。従来型モデルでは、ソフトウェアやハードウェアから実装まで、すべてに費用を払ってから、自分にとって適切な製品かどうかの判断を下さなければなりませんでした。
--現在の経済情勢を受けて、売り込み方は大きく変わっていますか。
Benioff:今はそういうことはないと思いますが、いずれそうなるかもしれません。私たちはまだそれほど影響を受けていないのだと思います。少なくとも私たちはまだ、はっきり景気後退局面に突入したとは言えないでしょう。
--みなさんそうおっしゃいますが……。
Benioff:ただ、株式市場は弱気ですね。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ