IDCが仮想化3.0までを提言、同時に市場は戦国時代へ

藤本京子(編集部) 2008年04月24日 18時24分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 IDC Japan ソフトウェア リサーチアナリストの入谷光浩氏は、ヴイエムウェアが4月24日開催した製品発表会にて講演を行い、仮想化ソフトウェア市場の現状について語った。同氏は国内の仮想化ソフトウェア市場について、「メインフレームも含めた国内の市場成長率は2005年から2006年で64.9%。オープン環境での仮想化ソフトウェアに限定すると、同時期に80%も成長している。これは、ソフトウェアの成長率としてはまれにみる数字だ」と述べた。

入谷氏 IDC Japan ソフトウェア リサーチアナリスト 入谷光浩氏

 オープン環境の仮想化ソフトは、「2006年から導入が本格化した」と入谷氏。2006年の国内の市場規模は58億円だが、入谷氏は「2006年から2011年の国内成長率は39.8%で、2011年の市場規模は310億円となるだろう」との予測を示した。2006年時点では、ヴイエムウェアが国内シェア59.8%となっており、同社が市場をけん引している格好だ。

 39.8%という市場の成長率は、同時期のワールドワイドでの成長率27.1%を大幅に上回っている。それは逆に、日本市場が仮想化ソフトウェアで世界に遅れを取っていることの表れでもある。事実、2006年の日本の仮想化ソフトウェアの市場規模は世界の市場規模の約4.5%で、「日本のソフトウェアの市場規模は世界の市場規模の7〜8%であることから、仮想化市場は2006年の時点で世界に追いついていない」と入谷氏。ただし、同氏は2007年から2009年が日本における仮想化ソフトウェア普及期と見ており、「2011年には日本市場の規模が世界の約8%まで成長するだろう」としている。

 IDCでは、現時点での仮想化市場を「Virtualization 1.0」としている。1.0では、テスト環境での利用やリソース配分、サーバ統合など、物理的なコスト削減を目的とした利用が中心となっている。しかし入谷氏は、仮想化のメリットはこれだけではないとして、1.0以上のマイルストーンについて説明した。

 「2.0では、ヴイエムウェアの提供するVMotionのように、ダウンタイムなしでの仮想マシンの移行が進む。2.5では、計画外ダウンタイムが削減され、ワークロードのバランシングも可能となる。3.0では、IT基盤を仮想化し、物理ハードウェアとアプリケーションの分離が可能となる。つまり、これまで管理はサーバやストレージに依存していたが、それを意識しなくてもよくなるのだ。自動化に有効なソリューションも登場し、最終的には仮想化をプラットフォームとしたユーティリティコンピューティングが実現するだろう」(入谷氏)

 仮想化が発展すると同時に、「市場ではベンダーの参入も多くなり、競争が激化する」と入谷氏は指摘する。2008年から2009年にかけては「ベンダーの戦国時代」とし、ソフトウェアの提供方法も「ハードウェアに組み込まれたりソフトウェアアプライアンスで提供したりと、多様化が進む」と入谷氏。

 ますます発展が見込まれる仮想化市場だが、こうした中での問題点として入谷氏は、「SIerもユーザーも、仮想化をもっと理解し、物理的なサーバやストレージを意識した運用管理から、仮想化環境を意識した運用管理を考えるべき」と話す。また、「仮想化に対応したアプリケーションのライセンス体系やサポートも整備しなくてはならない。これがはっきりしないことで、導入に踏み切れないユーザーが多い」と指摘する。

 最後にIDCからの提言として入谷氏は、Virtualization 1.0以降の利用方法も視野に入れ、「仮想化による本質的なメリットを訴求しなくては」と述べる。また、仮想化ベンダーにとってパートナー戦略が重要であることや、エンジニアの育成が必要なことを強調した。さらに、これまで仮想化ソフトは速いスピードで開発が進んできたが、「今後もベンダーはイノベーションを継続し、IT基盤を変化させる姿勢を見せるべきだろう」とした。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
ビジネスアプリケーション

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化