傲慢さ、うぬぼれ、見通しの甘さ、人間性の欠如などが、規模の大小を問わず毎年素晴らしい企業を葬り去っている。われわれはそれらの誤った判断から学ぶことができるが、学ぶなら事業が失敗したり、我が国のリーダーシップが完全に失われてしまう前でなければならない。
以下の間違いのリストは、あらゆる業界の企業に当てはまりうる、ばかげた考え方の一部を示したものだ。これを読んで、他人の失敗に学んで欲しい。
- 「費用節減のために顧客サービスの水準を下げよう」
- 「電話対応をする人間は機械で置き換えることができる」
- 「わが社の経費の中で最大のものは人件費であり、従業員の給与を圧縮しなくてはならない」
「お問い合わせの件数が多くなっているため、お電話にお答えするまでに時間がかかっております」これは何という戯言だろう。このメッセージの本当の意味は、「われわれには顧客サービスに十分な費用をかけるつもりがないため、我慢できずに電話を切ってしまうまであなたを待ち行列で待たせるつもりだ」ということだ。私は最近、Verizonの待ち行列で45分待ったが、ついに順番は回ってこなかった。一方、T-Mobileは私の電話に20秒以下で応答した。私の取引先となり、信頼を勝ち得たのはどちらかはお分かりだろう。これは非常にばかげたことだ。新しい顧客を獲得するのにかかるコストは、電話オペレーターを何人か増やすコストを簡単に上回る。
今日では、会社に電話をした際に実際の従業員に対応してもらうのは、ちょっとしたもてなしになっている。音声メールシステムは、本来そうであるべきほど賢くなく、それらの粗末なシステムが知らないところで売上げや顧客の信頼、そして善意を損なっている。私は受付係を配置するコストが、顧客の満足度の向上によって十分に埋め合わせられるという現実の証拠を多く見てきている。私のアドバイスはこうだ。他の会社に倣うのをやめて、顧客に彼らの思いを大切にしていることを示した方がいい。
多くの企業は、見当違いに経費の管理状況を改善しようとして、できるだけ給与の支払いを小さくしようとする。それらの多くの組織では従業員の退職率が高まり、新規雇用や新入社員の訓練により多くの経費を必要とするようになる。それに加え、このやり方では機会費用を定量化しにくい。これは、人員不足であったり、人材の訓練が不足していたりする企業では、提供するサービスの品質や配慮が不足した結果、収益や顧客を失ってしまうことが多いからだ。Circuit Cityはこのような形で費用を「管理」しようとしたことが、大きな原因の1つとなって倒産したが、その一方で他の小売業者は生き残っている。