最高情報責任者(CIO)が「グリーンアンバサダー」となる傾向がますます強くなっている――ネットワーキングのリーディングカンパニーであるCiscoの調査によると、CIOは、持続可能なビジネスプラクティスを組織に導入することを推進したり、サプライヤーに対しグリーンについての意識を高めることを促す「グリーンアンバサダー」の役割を担うようになってきているという。
Cisco UKのファイナンシャルサービス担当オペレーションズディレクターのDavid Meads氏は、silicon.comのインタビューにおいて次のように答えている。「CIOとの会話の中で『持続可能性』が話題にのぼらなかったのがいつだったか思い出せないほどだ」
「持続可能性が話題になったミーティングもあるにはあったが、持続可能性が会議の議題だったという意味ではない。CIOとの会話ので徐々に増えてきたということである。持続可能性、そして私たちの視点、つまり主に製品開発の視点での私たちの行動や組織としての行動を理解したいということが、CIOレベルの人たちとのミーティングで取り上げられるようになってきている」
Meads氏はさらに、「確かに、彼らには果たすべき役割があるとみなされており、私が会った数多くのCIOたちはすべてグリーンアンバサダーか、少なくとも環境保護関連会議のメンバーのように思えた」と述べている。
Meads氏の見解は、Ciscoが委託したビジネスプラクティスに対する姿勢についての調査によって裏付けられている。ITに関する意思決定者200人を対象とした調査の結果、およそ3分の2(61%)が、持続可能性は重要な問題の1つであると答え、約半分(44%)が取締役会レベルの問題であるとしている。
この調査結果に関する議論の場において、投資銀行のLehman Brothersでヨーロッパのインフラストラクチャ部門責任者を務めるMichael Fahy氏は、グリーンITはすべてのCIOにとっての検討事項であるという点に同意したものの、その主要な促進要因は持続可能性自体ではなく、効率だと述べている。
「誰もが『グリーンIT』を重要視しており、Ciscoを含むサプライヤーとの会話では必ずといっていいほど『グリーンIT』が話題として取り上げられる。そしてその際には、持続可能性よりも効率について話し合うことの方が多い。つまり、効率と持続可能性は相互に深く結びつき、テクノロジリーダーの視点からするとまったく同じものなのである」(Fahy氏)
テクノロジがきわめて貴重なリソースを消費することは避けられないことであり、重要なのはその効率を高めることだとFahy氏は言う。「持続可能性という観点から見ると、純消費は、その結果生成されるものと価値の点で可能な限り生産的なものにするということが促進要因となる。したがって、必ずしも価値があるとは限らないサイクルを生み出す、つまり、必要以上に多くのサイクルを実行するのではなく、その範囲をできる限り小さくすることが目標となる。これには2つのメリットがある。それは効率であり、また基本的には持続可能性にも貢献する」
「2つとも方向性は同じであるといえるため、一方が他方の有効性を損なうことはない」(Fahy氏)
Fahy氏によれば、Lehman Brothersにおいて効率の良さを求める要因となるものは、データセンター内でどの程度のスペースを使用しているかということではなく、個々のアプリケーションを実行するのに必要なリソース量を計算することにより、消費量に基づいて社内サービスに対する対価を請求するように方針転換したことにある。