インベーダーとパックマン開発者に学ぶ「ヒット作を生み出す秘訣」

永井美智子(編集部) 2008年09月10日 10時36分

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 ゲーム開発者向けのイベント「CESA DEVELOPERS CONFERENCE 2008(CEDEC 2008)」が9月9日、開幕した。10周年を記念して開かれたパネルディスカッションでは、「スペースインベーダー」の生みの親であるドリームス代表取締役の西角友宏氏、「パックマン」の開発者で、現在は東京工芸大学芸術学部ゲームコースで教鞭をとっている岩谷徹氏、米Game Developers Conference(GDC:ゲーム開発者会議)の主観であるJamil Moledina氏が、ゲーム開発の肝について議論した。なお、司会は「高橋名人」として知られるハドソン宣伝部の高橋利幸氏が務めた。

 西角氏はタイトーが1978年に発売したアーケードゲーム、スペースインベーダーの生みの親として知られる。スペースインベーダーの開発は、ブロック崩しゲームを見て衝撃を受けたことがきっかけだったという。ブロック崩しゲームは、画面上部に並んだブロックにボールを当てて崩していくというシンプルなゲームだ。単純だが何度やっても面白いというゲーム性に、当時の西角氏は惹き込まれた。「早くなんとかして追い越そうと思った。このゲームの本質を生かして、形をつければもっと面白いと感じた」(西角氏)

西角友宏氏 スペースインベーダーの生みの親である西角友宏氏

 こうして生まれたスペースインベーダーは、近づいてくる敵の群れを銃で撃って攻撃し、陣地内に入らないように守るというものだ。高橋氏は「それまでのゲームで、敵が攻撃してくるというものはなかった」とその革新性を評価。Moledina氏も、「初めてゲームにフィクションが適用されたと感じた。『悪い敵から自分たちを守る』というストーリーが感じられた。技術的な革新だけでなく、そこに楽しさがあったことで、いまでも記憶されるゲームになったのだと思う」と話し、米国にも大きな影響を与えたゲームだとした。

 一方のパックマンは、1980年にナムコから発売されたゲーム。黄色い円形の「パックマン」が敵から逃れながら餌を食べるというものだ。岩谷氏はパックマンの狙いについて、「当時、ゲームを遊ぶ場所は男の人のもので、女性は立ち寄らなかった。女性やカップルが楽しめるゲームを作ろうと考えた」と話す。パックマンという名前についても、「失礼な話だが女性は『甘いものは別腹』というくらいなので『食べる』にちなんだ」と、女性を意識して開発したことを明かした。

 ここでは、ナムコ入社時の最初の数カ月間で受けた、デパートの屋上での新人研修での経験が生きていたという。当時、屋上にはコインを入れると動く木馬が置かれていた。通常の木馬のほか、アニメキャラクターを模した木馬も置かれていたが、圧倒的に通常の木馬のほうが人気があった。不思議に思った岩谷氏がベテランの管理者に尋ねたところ、「どの木馬に乗るかという決定権は母親にあり、ちょっとでも子どもが落ちて怪我をしそうなものには絶対にお金を入れない」という答えが返ってきたのだという。

 このことから、「もの作りには子どもの目線、親の目線が必要であり、いろいろな『物差し』を自分の中に持たないといけないと、入社2カ月で学んだ」(岩谷氏)という。また、子どもたちが嬉しそうな笑顔で木馬に乗っている様子を見て、「こういう笑顔になってもらえるようなものを作るぞという使命感を覚えた」(同氏)とした。

 ただ、ゲーム自体は世間の批判を浴びることも多かった。岩谷氏は「ゲームを作るたびに世間から攻撃された。ゲームセンターも不良の溜まり場だと言われ、楽しいものを作っているはずなのに何で認めてくれないんだろうという思いだった」と語る。

 そのときに支えになったのは、ゲームに対する愛情や使命感だという。「男女関係に例えると、『いいな』と思った子をだんだん好きになって、付きあううちに愛情が芽生えて、『この子は自分が守るぞ』という気持ちが育っていく。それは短期間にはならない。じっくりと相手の気持ちをとらえて『結婚するんだ』という気持ちになると、いろんなことに挑戦して(苦難も)超えられる」(岩谷氏)

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