英国ウェールズの企業が、戦場での廃棄物処理の問題に対する1つの回答を提示している。ごたまぜのプラスチックゴミを、防弾かつ耐火性の装甲パネルへと変えてしまう装置だ。
英国ウェールズのスウォンジーに本社のある技術企業Protomax Plasticsによると、「P2」と呼ばれる同社の新しい装置を使えば、不要なビニール袋や使い古された牛乳運送ケースといったがらくたを原料に、サーフボードやカヤックから軽量の防護パネルまで、さまざまなものが作れるという。
同社のマネージングディレクターNick Stillwell氏は、「モジュラーハウスの建設から、自動車、セキュリティ、防衛の分野まで、この技術の応用範囲は広い」と話す。「この技術自体は輸送が容易なので、現地の廃棄物を使ってパネルを現場で製造できる。パネルは軽くて扱いやすく、従来の建築資材を使うよりも短時間で組み立てられる」
Protomaxの技術のもとになったのは、米国デトロイトに本社のある3DM TechnologiesがDaimlerChrysler向けに開発した製造法だ。DaimlerChryslerは、ピックアップトラック「Dodge Dakota」のプラスチック製荷台を製造するのに、この技術を利用しようと考えていた。またメキシコでは、プレハブ住宅の建設用途にこの技術がライセンスされている。粉末プレス成形(PIM)と呼ばれるこの技術は、粉末にした熱可塑性樹脂を比較的低い温度で補強材と融合させるもので、これによって金属と同等の強度を持つ軽量の複合材料が作れると、Protomaxは説明している。
この技術を使って企業がゴミを現場でリサイクルするようになれば、ゴミを埋め立てて処分する必要がなくなり、カーボンフットプリント(温室効果ガスの排出量)を削減できるかもしれない、とProtomaxは言う。
イラクのグリーンゾーン(バグダッド市内にあるインターナショナル・ゾーン)をきれいにするのと、「Humvee」(高機動多用途装輪車両)の装甲強化が同時にできるというのは、なかなかよさそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ