米商務長官に指名のJ・グレッグ氏--テクノロジ業界への影響を占う

文:Declan McCullagh(CNET News.Com) 翻訳校正:川村インターナショナル

2009-02-06 07:30

 共和党のJudd Gregg上院議員は米国時間2月3日、Obama米大統領から正式に商務長官に指名された。ビジネスや法執行機関に好意的な過去を持ち、新政権のテクノロジ政策に多大な影響を及ぼす人物が閣僚ポストに加わった。

 ホワイトハウスにおける会見でObama大統領は、ニューハンプシャー選出のGregg上院議員について次のように述べた。「わたしの経済対策チームに非常に優れた眼識と経験が加わった。信頼できる意見を持つ閣僚であり、有能で説得力あふれる産業大使となって、米国がビジネスにオープンなことを世界に伝えてくれるだろう」

 Gregg氏の上院議員としての活動を振り返ると、過去のテクノロジ政策は入り混じっていることが分かる。ネット課税に懐疑的で、H-1Bビザ発給枠の拡大を支持といった態度からは、テクノロジ業界寄りということになる。しかしGregg議員は、2001年9月11日のテロ攻撃後、機密性の高い暗号化製品の世界的禁止を呼びかけた最初の、そして唯一の上院議員だ。

 米商務省はインターネット規制への政権の姿勢や特許局、デジタル署名に使われるアルゴリズムを含むテクノロジ関連規格を監視している。商務省電気通信情報局(NTIA)は、自身を「電気通信および情報政策問題における、大統領の筆頭顧問」と称するインターネットガバナンスに対する従来の関与に加えて、NTIAはデジタルテレビ用コンバータボックスのクーポンプログラムについても統括責任を負っている。

 暗号コードのウェブ公開および輸出に関する規制を商務省が管轄しているため、Gregg議員の監視賛成の姿勢は、ワシントンの同僚議員を少しばかり神経質にさせている。2001年9月13日、まだワールドトレードセンターコンプレックスでは煙がくすぶっている頃、Gregg議員は上院の議場で次のように述べた。「国際的な協力が必要な事態だ。ニューヨークとワシントンで起こったような出来事を予測、回避するために必要な情報が入手できるよう、行動を開始すべきだ」

 Gregg議員は、暗号化製品メーカーは「われわれが国として抱えるリスクと同等のリスクにさらされている」と述べ、さらに政府機関に暗号解読方法を開示するのは「市民としての義務であることを理解すべきだ」としている。Gregg議員は以前、司法省を監督する歳出小委員会の委員長を務めていたことがあり、Associated Pressに対して「法執行機関にさらなる手段を与えるため」の法案を書いていると語った。

 Gregg議員の法案は、その4年前に、下院委員会の1つで承認された法案と意見を同じくするものだ。これは、警察に対して「プレーンテキストにすぐアクセスできる」手段を提供しない、暗号化製品の配布または販売を重罪とするというものだ。これでは、SSL暗号化技術を組み込んだウェブブラウザや、ディスク暗号化機能を持つOS、IPsecやSSHを含む標準的なインターネットプロトコルを使用したソフトウェアの配布がすべて禁止されてしまう。

 しかし1カ月後の2001年10月、何の説明もないまま、Gregg議員は草稿中の法案を中止した。

picture1 商務長官に指名されたJudd Gregg上院議員(中央)は米国時間2月3日、Biden副大統領、Obama大統領とともにホワイトハウスで会見を行った。
提供:White House photo/Pete Souza

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