製造プロセスなどさまざまなビジネスプロセスの自動化を得意とするSAPが、二酸化炭素(CO2)排出の管理を専門とする企業を買収する。
企業向けソフトウェア大手のSAPは米国時間5月11日、バージニア州スターリングに本拠を置く創業2年の株式非公開企業、Clear Standardsを買収することを発表した。Clear Standardsは、企業が環境に与える影響を追跡してレポートを作成するツールを開発するソフトウェア企業だ。買収の金銭的条件は明らかにされていない。
Clear Standardsが提供するウェブベースのホスティングアプリケーションは、企業がCO2排出を管理し、環境への影響を低減するための戦略立案を支援するためのものだ。このソフトウェアを利用すると、企業によるCO2排出の一覧表が作成でき、消費エネルギーや廃棄物削減の取り組みを、環境管理担当者などが追跡できるようになる。
米国では温室効果ガスの排出に関して強制力を伴う規制は行われていないが、現在上院と下院が、公共施設や大手製造業者などの大規模な汚染源に対して適用することを意図した法案に取り組んでいる。
SAPによれば、Clear StandardsのCO2管理ソフトウェアは、大規模な汚染源として欧州で規制を受けている企業や、自発的に持続可能性プログラムを実施している企業向けに作られているという。SAPではこのソフトウェアを、SAPアプリケーションの財務データや、SAPの環境、健康、および安全管理用アプリケーションに統合する計画だ。
SAPの共同最高経営責任者(CEO)Leo Apotheker氏は声明で、「企業にとって、CO2排出量、使用水量、エネルギー消費量などの環境因子について実施可能な見通しを得て、環境への影響を低減できるようにすることが非常に重要になっている」と述べ、「こうした能力の獲得は、企業の効率性と競争力にも関係してくる」と続けている。
CO2管理ソフトウェアの需要拡大を見越して、CO2排出を追跡しレポートを作成するCO2管理ソフトウェアを開発している企業はClear Standardsだけではない。たとえば、Planet Metricsは、社内のCO2排出を管理し、自発的であれ規制順守のためであれ、削減目標を達成するために最も効率的な方法を決定するためのツールを開発している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ