2009年はEnterprise 2.0へのシフトが進む--大企業のWeb 2.0ツール利用状況を読み解く - (page 3)

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-05-25 08:00

積極的な企業:リスクを管理しメリットを享受しつつ、知識の流れを妨げない

 企業がソーシャルネットワーキングを活用するうえでの難関(関連英文記事)は数多く存在し、その内容もさまざまである一方、企業がコミュニケーションとコラボレーションのために現在使用しているツール間でのバランスをうまく取っていく必要があるという本質的な問題が徐々に明らかになってきている。ここ1年で大きな変化が数多くの企業で起こってきているため、手元のリソースを最適に利用するためのバランスが取れておらず、またその利用方法についても不明確な点が存在しているのである。

 はっきり言って、ソーシャルツールが企業のコラボレーションにまつわるあらゆる問題の解決策となるわけではない。とは言うもののそのことは、電子メールや、実際に顔を突き合わせて行う会議、電話といった従来型のツールについても言えることである。仕事に応じて適切なツールを選択することと同時に、Enterprise 2.0のツールによって仕事の性質そのものが変革されるという事実を理解しておくことは、ほとんどすべての企業にとって良い結果を生み出すうえで必要不可欠なことがらとなるのである。

 上記の図(今日の大企業における知識の創造と流れの幅広さを図示している)にあるように、企業知識の流れに重要かつ新たなチャネルが追加されたのである。そして、こういったチャネルは利用され始めたところなのだ。特にブログやWiki、アクティビティストリーム(FacebookやTwitterのようなアプリケーションに見られるイベントリストのことであり、起こっていることをほぼリアルタイムで把握できるリストのこと)によって、企業知識に携わる従業員の意見を述べる方法や、コラボレーションの方法に変化がもたらされている(関連英文記事)。こういったツールが持っている性質により、従来型のツールを用いた場合よりも有効かつ利用しやすい情報のエコシステムを生み出すことができるのである。従来型のツールでもパワフルで局所的な情報の流れを生み出すことはできるものの、長期間にわたって価値を蓄積したり集合知の形成に結びつくことはほとんどないのだ。要するに、新しいソーシャルツールによって知識の流れを、よりソーシャルに、そしてよりオープンでパブリックなものにすることによって、見つけやすくし、最終的に利用しやすくすることで大企業の知識の流れに変革をもたらすことができるのだ。

備考:最近のエンタープライズコンテンツマネジメント(ECM)ツールはEnterprise 2.0アプリケーションの特徴であるソーシャルかつ、創発的で自由形式な側面が強化されてきている(関連英文記事)ため、筆者はやや不本意ながらも図中にECMを記載している。しかし、現在市販されているECMの大半は、Enterprise 2.0が約束する成果をもたらせるものとは「なっていない」という点に注意されたい。

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