IDC Japanは9月2日、2008年度の国内ITサービス市場におけるベンダーの分析結果を発表した。1年前の2007年度にはITサービスの売上高が1000億円を超えたベンダーの数が14社だったが、2008年度は12社へと減少した。
2007年度に1000億円を超えていたベンダーのうち、新日鉄ソリューションズと大塚商会の売上高が1000億円を下回った。2008年4月にTISとインテックホールディングスの経営統合によって設立されたITホールディングスは、2008年度の国内ITサービスの売上高が2000億円を超えた。
IDCの調査対象となった主要ベンダーのうち、2008年度に国内ITサービスの売上高が前年比プラス成長となったのは、富士通、NTTデータ、日本ヒューレット・パッカード、伊藤忠テクノソリューションズ、野村総合研究所の5社にとどまった。特に、システム開発などのプロジェクトベースで売上高が減少するベンダーが多く、プロジェクトベースで前年比プラス成長となったのは富士通、NTTデータ、NRIの3社のみとなった。
これらのベンダーが成長を遂げた理由としてIDCは、プロジェクトベースの売上高を維持しつつ、堅調に推移しているITアウトソーシングを拡大したためと見ている。
ITベンダーの多くは2009年度にIT関連サービス事業の減収、減益を計画しており、大規模なグループ再編を含む事業構造改革を発表している。
IDC Japan ITサービスリサーチマネージャーの松本聡氏は、「国内IT市場が低迷する中、ベンダーにとって収益力の強化が重要な経営課題である。クラウドコンピューティングといった新しいサービスの開発も見られるが、市場拡大期とは異なる市場環境であることをベンダーは認識し、成果報酬型サービス契約など抜本的な収益モデルの見直しが重要である」と述べている。