中国の検索サービス「百度」(Baidu、バイドゥ)の最高経営責任者(CEO)であるRobin Li氏は、米国時間9月23日に珍しくシリコンバレーを訪れ、検閲問題というよりは企業家としての秘訣に深い興味を抱く学生たちを前にして、中国におけるバイドゥの成長に関する講演を行った。
提供:Tom Krazit/CNET
Li氏の米国訪問旅行は23日のスタンフォード大学で最終日を迎え、同氏は、集まった数百人の学生たちに、初のドットコムバブルの崩壊期から「中国におけるGoogle」として成長を遂げるまでにバイドゥを指揮してきた経験を通して学んだ教訓について語った。Li氏によれば、バイドゥは現在、中国の検索市場の76%を占めるに至っているという。すでに中国のインターネットユーザー数は3億3800万人に上っており、米国の全人口よりも多い。
2000年後半から2001年にインターネット企業を襲った大不況の中でもバイドゥが成功を収めることができた要因としては、初期のバイドゥへのベンチャーキャピタル投資を慎重に活用したことや、ポータルサイトにバックエンドで検索技術を提供することから、独自のフロントエンドのユーザーインターフェース(UI)の設計へと大きくビジネスモデルを転換する決断を下したことが挙げられている。また、Li氏は、将来の検索に「ボックスコンピューティング」と呼ばれるビジョンを掲げていることを概説した。同ビジョンには、まるで「Chrome OS」のようなスタイルのユーザーインターフェースが含まれ、新世代のコンピュータのスタートページとして、OSとは独立して稼動するとされており、より検索ユーザーの意図にマッチした検索結果を提供するセマンティック技術も採用されるという。
Li氏は学生たちからの非常に温かい歓迎を受け、学生たちは講演の後に、中国で最も著名なCEOに数えられる同氏を囲んで写真を撮影した。中国で検索エンジンを運営していく際に求められる検閲への協力姿勢に触れて、どのようにバイドゥが規制当局との難しい関係維持に努めているのかについて尋ねたのは、ただ1人の学生だけであった。
Li氏は、世界のどこにおいてもインターネットは新しい存在だが、とりわけ中国においては新しいものであると説明した。それゆえに種々の規制は必ずしもインターネット上で生じうる問題点を想定したものではなかったり、インターネットの進化するペースからは遅れたものとなってしまうことがあると、同氏は語っている。とはいえ、2008年にトロント大学の「Citizen Lab」が発表した調査では、バイドゥが他の対抗する検索サービスよりも格段に厳しい検閲を行っていることが示されていたものの、Li氏は、中国政府の意図に反したウェブページがバイドゥの検索結果から除外されるようにするため、どのような対策を講じているのかに関しては一切言及しようとしなかった。
一方、学生たちから投げかけられた質問の大半は、どうすれば米国企業が急速に成長する中国市場へと進出できるかという内容のものだった。Li氏は、中国の現地で存在感を増すことに勝るものはないと述べ、中国におけるインターネットの成長を過小評価してはならないと語りかけた。バイドゥの検索インデックスは毎年3倍に増加しており、対抗する他のサービスでは、中国におけるインターネットの成長ペースに付いていくことができず、中国のインターネットユーザーが求める全ページを提供しきれていないと、同氏は明らかにしている。
「もしバイドゥで見つけることができなければ、他のどこにも見つけることはできない」と、Li氏は述べた。当然ながら、この発言は多くの異なった意味に解釈できるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ