スウェーデンの通信大手Ericssonが、苦境に陥っているNortel Networksの一部資産を買収することが決まった。同社はこれにより、北米におけるワイヤレス事業の段階的構築を図る狙いだ。
Ericssonは現地時間11月25日、Nortelの北米におけるGSM(Global System for Mobile communications)事業を現金7000万ドルで落札したと発表した。Ericssonは、オーストリアに拠点を置くKapsch CarrierComと共同で競売に臨み、Ericssonが北米のGSM事業を、Kapsch CarrierComがEMEA(欧州、中東およびアフリカ)地域および台湾におけるGSM事業を買収することになった。こちらの買収額は3300万ドルと発表されている。
今回の落札は、この数カ月間にEricssonとNortelの間で交わされた大きな契約としては2度目となる。Ericssonは7月、NortelのCDMA(Code Division Multiple Access)およびLTE(Long Term Evolution)無線技術を11億3000万ドルで落札した。
GSMは、携帯電話向けに用いられる2つの技術のうちの1つだ。欧州ではGSMが標準で、世界全体でも主流となっているが、米国ではCDMAがより一般的だ。ただしGSMは、ここ数年間で北米の通信事業者の間でも採用される例が増えている。
EricssonはすでにGSM世界市場のシェアの大部分を握っており、特に欧州で高いシェアを誇るが、積極的に北米での勢力を拡大させようとしている。
一方のNortelは、1月に連邦破産法11条の適用を申請して以来、不振が続く事業と膨れ上がる負債の中で何とか生き残るための道として、ワイヤレス事業の段階的な売却を進めている。11月23日には、通信機器メーカーのCienaにメトロイーサネット事業を売却することを発表済みだ。
Ericssonは今回の買収の一環として、約350人の北米で勤務するNortel従業員を引き継ぐ計画だ。同社は7月にSprint Nextelとの間でネットワーク運用委託契約を締結しており、さらにNortelの事業を受け継ぐことで、2009年初めにわずか5000人だった北米部門の従業員数は一気に1万4500人に増え、これは同社でも最大規模になるという。
Ericssonによると、北米事業全体の売り上げは2008年で約27億ドルで、その大部分がGSMとW-CDMA(Wideband CDMA)の機器およびサービスによるものだった。Nortelの北米GSM事業の売り上げは、2008年の時点で約4億ドルだった。
今回の買収手続き完了までの日程は明かされておらず、通常通り米国とカナダ両国における規制当局の承認が前提になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ