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リスク最小化、収益拡大狙う--クレジットカード詐欺犯は政治家の夢を見る - (page 4)

田中好伸(編集部)

2009-12-09 18:47

 この3人は、死傷者750人以上の犠牲を出した2005年7月の英ロンドン同時爆破事件に関与しているとされており、この中でネットをベースにテロリズムに関与したとされている。この3人は、盗んだクレジットカード3万7000枚を使って得た利益をテロリスト集団“アルカイダ”に流していたと見られている。また、ドンことVegaも中東とパイプがあり、テロリストとつながっていると見られている。

 冷戦時代のテロリスト集団は、米ソという国家から資金や武器という形でバックアップを受けることが珍しくなかった。しかし、冷戦構造の崩壊で米ソからバックアップを獲得することは難しくなってしまった。それでは、冷戦後のアルカイダなどのテロリスト集団は活動する上で必要となる資金をどのように獲得しているのか。その手段の一つとして、クレジットカード詐欺が存在している。

 冷戦が終わり、国家という大きなパトロンを失った後でも組織として生き残るための手段として、ネットという技術を使ってカード情報を盗んで資金を獲得しようというわけだ。いつの世も非合法な活動には非合法な資金が必要なのである。

 そう考えると、テロリストがネットを舞台にした犯罪で資金を獲得するというのは特別不思議なことではない。つまり、ネット犯罪を犯す犯罪者が、犯罪組織なのかテロリスト集団なのかは、それほど大きな違いにはならない。どちらも非合法な組織という点で一致している。唯一の違いは、そもそもの動機が宗教的なのか経済的なのかという点だけだ。

政党を立ち上げ

 犯罪者が犯罪組織に属しているのか、テロリスト集団に属しているのかはあまり大きな違いではないはずだが、ひょっとしたら政党に属しているのかも大きな違いではないかもしれない。2005年7月に米当局に逮捕されたGolubov氏だが、2005年12月には釈放されている。ウクライナの政治家が「Golubov氏は、犯罪の証拠となる電子機器や盗まれたデータを持っていない」と米当局と交渉したからだ(Golubov氏は、逮捕時に手元の電子機器からすべてのデータを完全に消してしまっている)。

 その後ウクライナに戻ったGolubov氏は、政治活動を開始しており、2009年3月に「Internet Party of the Ukraine(IPU)」という政党のウェブサイトを立ち上げて、本格的な政治家としての活動を始めている。

 Golubov氏は「わたしの興味はお金ではなく、ウクライナから不正と犯罪をなくしたい」といかにも政治家らしい主張を掲げている。しかし、その主張をつぶさに見ていくと「米国の経済レベルを1920〜1930年代の状態にまで持っていきたい」と、はっきりと主張している。1920〜1930年代の米経済は、大恐慌の影響から立ち直れずにいた時期である。

 ソ連とされていた地域の政治家であることを考えれば、Golubov氏の主張は、わかりやすい発言と表現することもできる。しかし、大規模なカーダー組織の(限りなく灰色に近い)中心的人物と見られており、Carderplanet.comが米国の銀行やクレジットカードを対象にしていたことを考えると、Golubov氏の主張は違った色彩を帯びてくるだろう。

 これまで見てきたように、ネットが主な舞台となる脅威と、脅威の背後にある犯罪者たちの行動が常に変化し続けていることが分かるだろう。ネットで脅威を開発する人間は、常により賢く行動しようとしている。

 そうした得た資金が、犯罪組織の源泉となるのか、テロリスト集団の活動を支えているのか、はたまた政党活動の資金源になるのかは、エンドユーザーにはまったく分からない。エンドユーザーとしては、脅威の形が常に変化していることを念頭に置いて、ウイルス対策ソフトやスパイウェア対策ソフト、そのほか各種セキュリティツールを常に稼働させて、オンライン上で資金のやり取りをする際には、安全なセキュリティサービスを活用することを意識するしかない。

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