アプリケーションストア--新たなデジタルビジネスモデルについて考えてみる

文:Dion Hinchcliffe 翻訳校正:石橋啓一郎 2010年02月05日 07時00分

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 Amazonは米国時間1月21日、2010年中に同社の電子書籍リーダーKindleで、Kindle Storeを通じたサードパーティーアプリケーションの流通を開始すると発表した。

 このニュースは、大小のプラットフォームベンダーからの相次ぐ発表の中の1つに過ぎない。これらの発表は、プラットフォームベンダーが「iPhoneが次のフロンティアになりつつあることで、Appleは次世代ソフトウェア流通の仕組みとしてのアプリケーションストアモデルの正しさを証明した。そして、アプリケーションストアモデルは、顧客と企業の両方にとって、明らかな価値を生み出すものだ」というメッセージを受け取っているということを示している。

 アイデアの中心は、サードパーティー開発者がソフトウェアプラットフォームでアプリケーションを作成するのを支援し、その成果を顧客に還元することで、誰もが相互に利益を得ることができるというものだ。このアイデア自体はまったく新しいものではなく、ソフトウェアプラットフォームが登場した頃からのもので、つまりコンピューティングが誕生した時期からある。この数十年で大きく変わったのは、サードパーティー開発者を支援する方法、プラットフォームへのアクセスのコントロール方法、そしてそのプラットフォーム上で動くソフトウェアの流通で誰が利益を得るかということだ。

 歴史的に、DOSやWindowsのようなパソコンのOSについては、SDKに関して開発者に課金することでプラットフォームを維持する費用を賄うという方法はいい考えではないということを、企業は学んだ。この方法では、小規模の革新的な開発者の勢いを削ぎ、ソフトウェアソリューションのロングテールが形成されるのを妨げてしまう。そして、究極的にはそれこそが市場の大半を占めるものなのだ。一方、過去にはサードパーティーソフトウェアを流通の段階で直接コントロールするという選択肢も存在しなかったが、これは本当の意味でオンライン流通が可能になったのがごく最近だったからだ。ソフトウェアプラットフォームを所有することで、価値を生み出すことは、簡単ではなかった。

 最終的に、ほとんどのコンピューティングプラットフォームは、コードを書けるすべての人にアプリケーションを開発することを許すという形になった。これは、顧客のニーズ(それが何であれ)を満たす開発者、アプリケーション、サポートの豊かで活力あるエコシステムを作り上げるためには、強力なネットワーク効果をもたらす。この恩恵は、プラットフォームの所有者にとってもっとも重要なものではあるが、間接的なものでしかない。

デジタルビジネスモデルとしてのアプリケーションストア

 しかし、今日の広大で常時接続されているコンピューティングの世界においては、制約のないソフトウェアの開発と流通はサイバー犯罪の主要な標的となっており、ワーム、ウイルス、マルウェア、アドウェアなどの疫病が、主な消費者やWindowsなどのビジネスコンピューティングプラットフォームの間にはびこっている。インターネットがあれば、誰でも自分のソフトウェアを配布して課金することが可能であり、実際にそうなっているが、彼らが負う説明責任は小さいというのが現状だ。そういったオープンウェブの奔放な流通モデルは、それを望んでいる人にとっては素晴らしいものだが、それを望んでいない人にはほとんど選択肢がない。

 AppleのApp Storeは--Apple自体が(主にアプリケーションの安全性を確保するための承認プロセスによって)流通のボトルネックになっているということで悪評もあるが--顧客とソフトウェアパートナーからなる巨大で効果の高い新たなエコシステムに対する戦略的なコントロールを可能にする手法として、新たな例を作り上げた。10万以上のアプリケーションが30億回以上ダウンロードされており、1000万人を超える顧客を抱えるApp Storeは、否定するのが難しい成功例となった。現在、アプリケーションストアモデルの登場によって、プラットフォームを所有する企業のトップたちは、それがウェブサイトであれ、ネットワークにつながっているデバイスであれ、(ひょっとすると特に)オープンAPIであれ、自分たちのプラットフォームで似たようなことを模倣できないかと頭を悩ませている。

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