ローソンソフトウエア ジャパンは2月24日、同社の統合基幹業務アプリケーション「Lawson M3 Enterprise Management System(ローソン エムスリー エンタープライズ マネージメン トシステム)」の最新版となる「Lawson M3 10.1」を、日本国内に向け提供開始したと発表した。
ローソンソフトウエアの日本法人は、1995年から日本でビジネスを行っていたインテンシアジャパンを母体として、2006年に設立された。米Lawson SoftwareのIntentia買収に伴った社名変更だった。日本法人で社長を務める木田詞康氏は「米国中心にビジネスを展開しサービス系、特に人事管理系に強みのあるLawsonと、欧州やAPACに強く生産管理系を得意としてしていたIntentiaとの合併は、商域と製品がカバーする業界を拡大をすることを目的とした相互補完的なものだった」と説明する。
同社では、中堅企業向けの業界特化型ソリューションを得意としており、製造業や流通業向けの「Lawson M3」と、サービス関連業界向けの「Lawson S3」という大きく2つの製品ラインを持つが、本日より提供が開始されるM3 10.1は、「新生ローソンソフトウエアとして、戦略的な製品と位置づけている。合併直後に両社のソフトウェアの基盤を統合する形での新バージョンをリリースしていたが、今回の10.1は、機能強化やユーザーインターフェースの一新、パッチ適用のセルフサービス化など、使い勝手や機能性の面で大幅な向上を果たしている」(木田氏)という。
M3 10.1では、ユーザーからのフィードバックをもとに、600以上の機能変更を含む100以上の主要なビジネスプロセスの強化を行っているほか、Demand Management(需要管理)や、MRP(Material Requirements planning、資材所要量計画)の属性や原価計算といった複雑なサプライチェーン管理を簡素化するためのツール強化も果たした。
また、同社の強みである業界特化型のソリューションも強化している。例として、ファッション業界向けには、「品ぞろえと補充計画」や「製品ライフサイクル管理」が加わったほか、ファッション業界固有の機能である一括大量注文やパッケージ管理、注文のとりまとめ機能、コストアルゴリズムの強化が行われている。また、設備サービス管理、レンタル業界向けには、「装置収益性管理」「顧客サービス管理」「保証とクレーム管理」「部品物流およびスキル管理」といった機能が強化されているという。
業務の生産性の向上にあたっては、ユーザーが独自のデスクトップ環境を構築できる「Lawson Smart Office」や、複数のシステムに存在するデータを直感的に検索可能な「Lawson Enterprise Search」などの機能を追加している。
新バージョンにおける重要なポイントのひとつが、メンテナンス性の向上を中心とした「総所有コスト(TCO)の削減」である。具体的には、新機能の「Customer Correction Self Service」機能により、ユーザー側で自動的にソフトウェアの更新や修正パッチの適用が可能になる。これにより、メンテナンスの時間と運用管理コストを大幅に低減し、長期保有の際のTCOを削減できるとする。
「米Aberdeen Groupの調査結果では、約400名規模の中堅規模企業向けERPにおいて、1人あたりのTCOは、業界平均の1万3600ドルと比較して、Lawsonは約6900ドルと大幅に安い。システムのTCOを削減したい中堅企業には大きなメリットとなる」(木田氏)
メインとなるプラットフォームとしては、Windows Server 2008およびSQL Server 2008をサポート。.NET FrameworkをベースとしたWindowsの可用性と管理フレームワークを活用できることと合わせて、システムの拡張性も増したとする。ライセンス価格は、最小構成(20ユーザー)が600万円より。
ローソンソフトウエアでは新バージョンのリリースに合わせ、2010年5月末までに3社の新たなリセラーパートナーと契約を結び、新規顧客を積極的に開拓していく構えだ。木田氏は「ファッション、設備サービス管理、レンタル業界、食品飲料業界をはじめとする業界特化型のソリューション提供と、TCO(総所有コスト)の低さを強みとして、Lawson Softwareのキャッチフレーズである“To make our customers stronger”と“Simpler is better”を実現していく」と話す。同社では、2010年6月からの2011年度中に、20件の導入と8億円の売上を目指すという。