どんな利点があるの?
HTML 5のドラフトでは現在のところ、FlashやSilverlightといったプラグインで実現できない機能が新たに提供されるようにはなっていないんだ。
でも、巷で言われている利点の1つに、動画のストリーミングにおけるパフォーマンスの改善があるよ。YouTubeでHTML 5の動画ストリーミング機能を利用している人々の中には、CPUに対する負荷がずっと低くなったため、非力なマシンでもストリーミング再生が可能になったという人もいる。
最も大きな影響を受けるのはどういった分野になるの?
HTML 5によって最も大きな影響を受けるのは携帯電話分野だと考えられているね。携帯電話の世界では、ウェブブラウザを介してではなく、AppleのiPhone OS(関連英文記事)やGoogleのAndroid OS(関連英文記事)といった個々のモバイルプラットフォーム上で稼働するアプリケーションの開発が一般的になっているんだ。
HTML 5により、ウェブブラウザを搭載している携帯電話であればどのようなものでもモバイルアプリケーションが利用できるようになるんだ。これにより、個々のモバイルプラットフォームよりもずっと大きな市場が生み出されることになるだろうね。
GartnerのアナリストであるNick Jones氏による最近のレポートを見ると、HTML 5規格は「2015年よりも前に正式に決定されるとは考えにくい」とされているけれど、実際に規格化された暁には、モバイル向けのウェブブラウザは大きな進化を遂げることになるだろうね。
Jones氏はレポートの中で「HTML 5規格と、マルチタスクを実現するJavaScriptプラグインを組み合わせることで、未来のWebアプリケーションは、モバイルアーキテクチャの6つのスタイルすべてをサポートし、より幅広いアプリケーションの開発を可能にするだろう」と述べているよ。
それに同氏は「プレリリースされたHTML 5の機能は既に配備が進みつつあり、2012年には4億台のモバイル機器が出荷されることも考えられる。しかし、正式な規格が存在していないために、その足並みは2015年、あるいはそれ以降までそろわない恐れもある」とも述べているね。
モバイル機器におけるHTML 5の前途はどうなの?
オンラインブラウザの世界では既に、Googleや、BlackBerryのメーカーであるRIM、OperaがHTML 5を強力に後押ししているよ。
また、モバイル機器上でのFlashのサポートが比較的弱いといった点を考えても、この規格の前途は明るいと言えるだろうね。
今のところ、世界で3番目に人気の高いモバイルOSであるiPhone OS(関連英文記事)はFlashをサポートしておらず(関連英文記事)、その他多くのスマートフォンでも、Flashの全機能を使用したWebアプリケーションを実行させるために苦労を重ねているんだ。また、スマートフォン向けとして開発されたFlash Liteは、すべてのスマートフォンに出荷時から搭載されているわけではないしね。
とは言うものの、Flashは2010年以降、多くのモバイル機器でサポートされるようになるかもしれない。Adobeは2010年中に、スマートフォンだけではなく、高速なプロセッサを搭載し、タッチスクリーンや加速度センサを備えたウェブタブレットをターゲットとしたFlash Player 10.1をリリースする予定にしているそうだよ。Jones氏によるとAdobeの目標は、Flash Player 10.1が世界中のスマートフォンの約半数で実行されるようになることであるらしい。同氏の見積もりによると、これは2012年では2億台に相当するんだってさ。
OvumのシニアアナリストであるTony Baer氏は、AppleがSafariブラウザでHTML 5をサポートし、iPhoneやiPadでFlashをサポートしないという決断を下したことで、HTML 5にとって有利な流れが生み出される可能性があると述べているよ。
同氏は「Flashはモバイル分野で成功を収めているとは言えない状況にある。この分野では、iPhoneを除いて大きなシェアを握っている製品はなく、皆も知っている通り、AppleはiPhoneおよびiPadでFlashをサポートしないという決断を下している」と述べているね。