富士キメラ総研は、LEDパッケージとその関連市場を調査分析し、その結果を報告書「2010 LED関連市場総調査」としてまとめた。LEDパッケージは、ノートPC用やテレビ用の大型LCDバックライト用として市場が拡大し、将来的には照明向けとして大きな期待が集まっている。
調査によれば、「環境」をキーワードにしたグリーンデバイスは、単にCO2の削減や省エネルギー化を推進した製品作りが目的でなく、それを通じた新しい産業の創生が重要なテーマとなっているという。グリーンデバイスと呼ばれるのは、太陽電池、燃料電池、リチウムイオン電池、キャパシタ、パワーデバイス、LEDであり、とくにLEDにおいては、白色LEDが照明用光源として注目されているとしている。
2009年のLEDチップ市場は、数量ベースで前年比4.5%増の1324億3595万個、金額ベースでは前年比7.5%増の4094億円となったという。また、サファイヤ、SiC系可視光LEDチップ市場は、2009年に数量ベースで前年比16.3%増の440億5000万個、金額ベースでも同様に前年比16.3%増の2203億円と大幅に拡大したとしている。この要因は、Samsung、LGなどの韓国のセットメーカーが、PCやテレビ用LCDバックライトへの白色LED搭載を急激に進めたためだという。富士キメラ総研では、大型LCDバックライト用途の伸びは当面続くと見ており、また、現状では市場に出始めたばかりの照明用白色LEDも2015年には市場が本格化すると予測している。
一方、LED市場は、2009年後半にノートPCやテレビ向けの大型LCDバックライト用白色LEDパッケージが市場を大きく伸ばしたという。2009年のLEDパッケージ市場は、数量ベースで前年比1.2%増の1072億5000万個、金額ベースでは同1.7%増の5830億円となった。このうち、白色LEDパッケージ市場は、数量ベースで前年比8.5%増の193億個、金額ベースで同5%増の3474億円だったとしている。LEDパッケージ市場は、2008年第4四半期から2009年第1四半期にかけて市場が大幅に落ち込んだ。その要因として大きかったのは、携帯電話市場の低迷だとしている。2009年第2四半期以降はノートPC用LCDバックライト向け市場が立ち上がって回復に転じ、後半以降は前年を上回る伸びを示し最終的に前年を上回ったという。
また同社は、2010年の白色LEDパッケージ市場は大幅な増加が予測されるとしている。白色LEDパッケージは、ノートPC、テレビ用などの大型LCDバックライト向けが伸び、2010年に前年比74%増の336億個が見込まれるという。2015年ごろから自動車用ライト向け、照明向けなどの市場が急速に立ち上がり、照明用白色LED市場が本格化すると富士キメラ総研は見ている。2020年は数量ベースで2015年の約2倍の規模になると富士キメラ総研では予測している。
LED照明は、従来の蛍光灯と違い、水銀などの有害物質が含まれていない、消費電力が少ない、寿命が長いなどの特徴がある。しかし、現状では価格や輝度、寿命などに開発の余地があるという。富士キメラ総研では、LEDパッケージ市場の本格化のポイントは、白色LEDパッケージの低価格化、高効率化、長寿命化だとしている。