ほとんどの人々が2009年は財布の紐を締めなければならなかったのとは対照的に、新しいスーパーコンピュータの購入に300万ドル以上を費やすのもいとわなかった人々がいたようだ。
ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)およびサーバ市場全体では、2009年の売上高が86億ドルを記録して、2008年の97億ドルという売上高からは11.6%の下落に終わったことが、IDCによって米国時間3月24日に発表された「Worldwide High Performance Technical Server QView」のリポートで明らかにされている。出荷台数は、前年比40%減となった。
しかしながら、不況の中でも悪影響を受けなかったセグメントの1つに、スーパーコンピュータが挙げられている。IDCは、300万ドル以上の販売価格のHPCの売り上げが、前年比65%増となる10億ドルに達しており、その大半は販売価格が1億ドルのレンジに入るHPCであったことを明らかにした。50万ドルの販売価格をつけるスーパーコンピュータは、売上高が前年比25%増となる34億ドルまで伸びた。
皮肉なことに、販売価格が10万ドルを下回る「ワークグループ」コンピュータの売上高は、購入のキャンセルや延期が相次ぎ、前年比33%減となる17億ドルにとどまったとされている。同販売価格帯のHPC市場は通常、短期の販売サイクルや慎重な検討を一層必要とする購入案件が含まれている。
低迷する市場において、いかにして高額なスーパーコンピュータは成功を収めることができたのであろうか?IDCは、その質問に次のように答えた。
IDCのテクニカルコンピューティング部門リサーチディレクターであるJie Wu氏は声明を出して「主要な石油およびガス会社、政府、一部のエンターテインメントならびにコンシューマー向け製品メーカーにおいて、HPCは研究開発プロセスの非常に重要な部分を占めているため、不況下でも予算の削減は珍しく、すでにHPCの拡張計画は実行に移されていた。HPCサーバの売り上げ全体の約65%を占める政府および大学による購入の低迷は、2009年に市場全体が記録した落ち込みよりも小規模にとどまった。また、米国政府による景気支援策の一部助けもあり、財政支援も景気回復期における明るい材料とやはりいえるだろう」と述べた。
実のところ、IDCは2010年のHPCサーバ市場の成長率を5-7%と予測しており、2010年に入ってから低迷した市場は回復基調を見せ始めることになっていた。とはいえ、市場で異なるセグメントの回復は、独自のペースを保つことになりそうだ。
IDCのHPCプログラムバイスプレジデントであるEarl Joseph氏は声明を出して「不況がHPC市場の各セグメントに一定ではない影響を及ぼしたのと同様に、景気の回復も多様な影響をもたらすことになる。多くの企業が非常に大きな打撃を受けたため、HPCなどの最重要視される分野においても資本支出の制限を継続することになり得る」と語った。
HPCの主要ベンダーの中でも、IBMは同市場の45%のシェアを占め、前年比37%増の売上高を記録してトップの座を維持している。IBMの戦略は、2009年に好調だったハイエンド市場に注力したものとなっている。
第2位には、売上高こそ前年比32%減に落ち込んだものの、販売価格が50万ドル未満のHPCに限ると、市場全体の33%のシェアを確保しているHewlett-Packard(HP)が入っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ