iPadのビジネス利用--注目すべき3つの理由と敬遠すべき3つの理由 - (page 2)

文:Jason Hiner 翻訳校正:石橋啓一郎

2010-04-22 07:00

iPadを無視すべき理由

1.Appleのエコシステムに束縛される

 iPadがこれほど使いやすい理由の1つには、Appleがハードウェア、ソフトウェア、eコマースプラットフォームを垂直統合しているということがある。この簡単さは、テクノロジーの世界でもっとも過酷なエコシステムにロックインされてしまうという代価を伴うものだ。

 一部の消費者は、「とにかくうまく動く」システムの代償として、自ら自由を諦めようとしているが、これは企業にとってはずっと難しい問題だ。

 企業が何かをしなくてはならない場合が生じることがある。例えば、ビジネス上の理由で、専用アプリケーションを作ったり、支払いシステムをいじったり、設定を変えたりということだ。ところが、Appleのエコシステムに組み込まれれると、そのシステムがきわめて硬直的で、柔軟性に欠けているということが分かる。企業、そして特にIT部門は、これを好まないはずだ。これが、多くの組織でMacやiPhoneが使われていない理由の1つになっている。AppleはiPadをビジネスで活用するシナリオを展開しようとしているが、これまでのところ、Appleが同社のエコシステムをオープンにする可能性は低そうだ。

2.1度に1つのアプリしか使えない

 iPhoneやiPod Touchと同様に、iPadでは1度に1つのアプリケーションしか実行できない(iPodの音楽アプリやYahoo IMなど、少数の例外はある)。このアプローチは、処理能力やバッテリー寿命と戦う必要のあるiPhoneでは、ある程度筋が通っている。しかし、処理も速く、上記のようにバッテリー寿命も十分なiPadでは、辻褄の合わないことだ。

 大抵のビジネスマンは、まともに仕事をこなそうとすればマルチタスクで作業する必要があるため、iPadのこの特徴は、ラップトップの代替デバイスとしての役割を限定的なものにしてしまう。ただし、発表予定のiPhone 4.0オペレーティングシステムでは、ようやくMacのExposeに似たインターフェースを使ったマルチタスク機能が追加されるとうわさされていることは、念頭に置いておくべきだろう。われわれとしては、この話が本当であり、iPadにも同時にこの機能が導入されることを祈るばかりだ。

3.何の代わりにもならない

 この待望のデバイスは高い評価を受けているが、タブレット端末そのものはまだ効果が証明されていないフォームファクターであり、過去10年間のタブレットPCは失敗だったことが証明されている。タブレット端末が役に立つことがわかり、受け入れられたのは、ヘルスケア業界など、少数のニッチ市場だけだ。それでも、タブレット端末で何ができるかははっきり分からないにも関わらず、すばらしいタブレット端末の可能性に興味を示すユーザーは残っている。

 iPadは、ビジネスマンのスマートフォンの代わりにはならない。ウェブと電子メールを中心とした、ラップトップに対する軽めのニーズについては、iPadで置き換えられる場合もまれにある。しかし、一番可能性の高いシナリオは、iPadがネットブックと同じカテゴリーの、追加的なデバイスになるというものだ。この場合、ユーザーはスマートフォンを持ち続けるし、メインのデスクトップやラップトップも持ち続ける。そして、iPadは大きなコンテンツの作成には関係しない、軽めのコンピューティング作業に使われる、使いやすいコンピュータになるわけだ。これが、多くの企業が先を争って買うようなマシンに聞こえるだろうか?私はそうは思わない。

 別のシナリオは、ヘルスケア、運送業、売り場などの、いくつかの主要なアプリケーションしか使わない業務の人に使われるというものだ。しかしその場合、iPadは他のタブレットが失敗した場所で成功する必要がある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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