シトリックス・システムズ・ジャパンは4月20日、ソフトバンクBBの基幹システムの再構築において、仮想化プラットフォーム「Citrix XenServer」に仮想化管理機能を提供する「Citrix Essentials for XenServer」が導入されたことを発表した。
ソフトバンクBBの基幹システムの再構築は、ソフトバンクテレコムが提供するクラウドサービス「ホワイトクラウドプライベートHaaS」をベースに、Citrix Essentials for XenServer Enterprise Editionを組み合わせて実施した。ソフトバンクBBの基幹システムは、ADSLサービスの申し込みからNTTの局内工事申請、サービスの開通に至るまでの事務処理を行う業務処理システムだ。また、利用者からの問い合わせに対応する顧客データベースや、ADSLサービスの請求書データ作成も行っている。
この基幹システムは構築から5年が経過、事業とユーザー数の拡大とともに拡張を続けた結果、物理サーバが735台まで増加していた。そこで、管理性の向上やリソースの有効活用を検討するとともに、台数増加による保守費用などを見直す必要があったという。
ソフトバンクBBとソフトバンクテレコムでは、基幹システムの再構築にあたり、信頼性と性能、冗長性などの面から検証を進め、ソフトバンクテレコムが提供するホワイトクラウドのプライベートHaaSとCitrix Essentials for XenServerの利用が有効と判断した。開発ラボ環境でCitrix XenServerの導入と検証を行い、約150台のサーバでの活用実績があることや、ビジネス継続性が求められる基幹システムにおいて、高可用性(ハイアベイラビリティ)構成が実現できる点が、Citrix Essentials for XenServerを選んだ理由だという。
機器の導入は2009年11月より開始し、2010年2月にシステム移行作業が始まった。この作業は2010年7月末頃には終了する予定だという。
新しい基幹システムは、顧客が使用するユーザーインタフェースと、申し込みなどの業務アプリケーションが稼働するフロントエンドシステム、顧客データベースなどが稼働するバックエンドシステムの3階層で構築されている。25台の物理サーバ上には200台を超える仮想サーバが実装され、フロントのウェブアプリケーションやバックエンドシステムの一部のアプリケーションが稼働している。顧客データベースが稼働しているバックエンドシステムは、205台の物理サーバで構成されている。
ホワイトクラウドとCitrix Essentials for XenServerによる基幹システムの再構築により、物理サーバの台数は735台から230台へ集約された。また、ハードウェアに特化したドライバやパッチなどの対応が不要となったため、データセンター費用、サーバの保守費用、ライセンス費用や電気代などを合わせて、運用管理コストが5年間で13億9000万円削減されるほか、従来の旧基幹システムで10〜20%程度だったCPU使用率が50〜60%程度まで高まったという。
ソフトバンクBBでは、今後25台の物理サーバ上で実装する仮想サーバを、現在の200台から400台弱まで拡張する計画だ。また、2009年7月にCitrix XenServerを使用した約150台のシンクライアントシステムをソフトバンクテレコムのコールセンターに導入した実績と経験を生かし、今回再構築したソフトバンクBBの基幹システムを利用するコールセンターにおいても、同様のシンクライアントシステムの導入を検討している。