不況後に財務責任者がやるべきこと--成長のための5つのヒント

文:Anthony Plewes 翻訳校正:石橋啓一郎 2010年05月11日 07時00分

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 情報技術は財務部門で重要な役割を果たす。そして、不景気を脱した時期に成長しようとする企業にとっては、これほど重要なものはない。

 では、財務責任者はITをどのように活用すればいいだろうか。

 企業が大きくなり、新たな市場や活動に踏み込むようになると、いかにコストを管理するかが財務部門の課題になる。その鍵は、企業の成長を支えられるだけの機動性を持ち、ビジネスインテリジェンスを提供できる、標準化された財務ITインフラを作ることだ。

 現在の経済状況で成功するための、5つの鍵を説明しよう。

1.財務プロセスを調和させる

/story/  財務ITの役割が財務プロセスを支えるものであることを考えると、まず必ずやるべきことは、組織全体で財務プロセスを標準化することだ。大きな組織では、公認会計士や世界に分散している事業体の数を最小限に抑え、財務プロセスを調和させる必要がある。プロジェクトによってはこのプロセスは簡単で、全社的な経費処理システムを導入する前に、すべての部門で承認プロセスを統一するだけでいい。

 しかし国際企業では、組織全体で財務プロセスを完全に標準化することは不可能かも知れない。国際法律事務所SJ Berwinで財務責任者を務めるMike Giles氏は、「われわれは1つの組織として運営しようとしているが、最高財務責任者(CFO)として、フランスではGAAP(一般会計原則)に従って納税申請書を提出しなくてはならないことを知っている。私は、何が必要かを調べることについては現地の財務チームに頼り、それらのニーズを国際戦略とシステムに組み込むように心がけているが、それが出来なければ何か次善の策を見つける必要がある」と説明している。

 Giles氏は現在、一部の国では複数の会計システムを平行して使っているが、いずれは1つのシステムに統合したいと考えているという。

2.財務ITインフラを1つのインスタンスで標準化する

 財務プロセスを調和させたら、1つの財務パッケージで世界に分散する事業体を1つのインスタンスに標準化することは、ずっと簡単になる。同じソフトウェアを使っている場合でも、異なるバージョンを使っていたり、それぞれの個別に国でホストされている場合が多い。

 アドバイザリファームHackett Groupの欧州IT利用ディレクターであるTony Chauhan氏は、「ERPを例に取ると、ある企業は14の異なるインスタンスを使っている」と述べている。「使っているインスタンスが多いということは、組織の中に本当のデータの流れがないということを意味している。世界で1つのインスタンスを持つことが必要であり、どんなに多くとも地域で1つにすべきだ。これによって、その組織の透明性は大きく向上する」

 多くの企業では、財務ソフトウェアを選ぶことは比較的簡単だ。法律事務所にはEliteというように、その業界のために設計されたパッケージがある場合もあれば、SAPのものなどのERPパッケージを使っており、その財務機能がぴったり合っているという場合もあるだろう。ただし、コンサルティング企業Xantusの経営コンサルタントBen Barry氏は、特別な目的がないのにSAPの製品を買うことには注意した方がいいと警告する。

 同氏は、「SAPはロールスロイス的ソリューションだが、巨大で高価であり、実装に長い時間がかかる」と述べている。「一部のシナリオでは、SageがSAPの有力な競合相手になりつつある。われわれのあるクライアントは、事業部門を売却しようとしているが、その組織は親会社より安い経費で経営できる見込みだ。その組織はそれ自体がかなり大きなものだが、普通ならSAPが使われるところでSageを採用することを検討している」

 SAPの場合は実装に1年近くかかるが、Sageならば1カ月ほどで完全に機能する。

3.新しい技術の導入を検討する

 実装にかかる時間を短縮するための方法の1つに、ホスティング型ソリューションの採用がある。

 おもちゃ会社のBluwは、その一歩を踏み出した企業の1つだ。小さな会社から、中国、英国、米国でオフィスを構えるまでに成長した同社は、財務とCRMの両方のニーズを満たすために、ホスティング型のパッケージを必要とした。

 「われわれは最終的に、クラウドの側面と拡大可能性から、主にNetSuiteを利用することを選んだ。また当時、NetSuiteはSAPよりも安かった」とBluwの財務責任者であるIan Harkin氏は説明した。「アプリケーションが自社のサーバ上にないということは、われわれがどこに移動しても心配する必要がないということだ。いつでもバックグランドで動いていて、完全にバックアップされている。また、NetSuiteはわれわれが香港ドルと米国ドルで請求を行うことが多い香港のオフィスをサポートする際にも、英国から管理するという面で可視性を向上させてくれた」

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