4.自動化を検討する
Hackett Group欧州アドバイザリ部門のマネージングディレクターであるJoel Roques氏は、財務部門がコストを管理する上で重要なのは自動化だと述べている。同氏は、多くの財務部門が過去10年間役に立ってくれた取引プロセスのオフショア化の流れを、逆転させ始めていると考えている。「われわれは次の段階に到達しつつあり、財務部門は自動化を進めるべきかどうかについて、自問自答している。世界規模の組織の30%は、自動請求書マッチングや支払い割り当てツールなどに将来性があると見ている」
電子請求から、支払い割り当てに到るまでの、いわゆる3方向マッチング(請求、発注、領収)を伴うこれらのツールは、財務部門が財務プロセス全体をデジタル化するのを助けてくれる。自動化によって、プロセス全体がスピードアップし、二重払いなどの手違いはほとんどなくすことができる。そのような手違いは、多くの企業が認めているよりもはるかに頻度が高く、Hackett Groupは最大で支払いの5%に上ると推計している。
英国ラグビー協会の運営団体であるRFUは、財務プロセスの改善策として自動化を検討しており、手作業で行っている調達システムを、自動化されたウェブベースのワークフローシステムに移行しようとしている。RFUの財務責任者であるJohn Moulson氏は、RFUはCompleatをベースにしたプロジェクトをゆっくりと展開しており、手作業のシステムを使っている部門から始め、最後はラグビー部門で終わる予定でいるという。
「オフィスがどこにあっても、システムにアクセスすることができ、100個のラグビーボールの注文を作成し、上司の承認を得て、納入業者に送ることができる」と、Moulson氏は説明する。「商品が送られてくるとそれを受領し、その後請求書に対して支払いをすることができる。誰かを走らせてサインをもらってくる必要はなく、多くの時間と紙の流れを節約することができ、なくなってしまった請求書を巡って業者と言い争いになることも少なくなる」
最終的にこのシステムは、財務部門のコントロールを強化してくれる。例えば予算をチェックし、注文の前にユーザーに予算に関する警告を与えたりすることができるようになる。またRFUは、このシステムによって、納入業者を標準化し、ユーザーが「承認済み」の業者を使うように誘導することで、規模の経済の恩恵を受けることもできる。
5.支払いの処理からインテリジェンスへ
自動化による別の利点に、財務部門に余裕ができ、価値の高い活動に集中できるようになるということがある。そして、もっとも重要な活動は、ビジネスインテリジェンスだ。
「財務分野では、より正確な予測、分析、事業のサポートを可能にする、データウェアハウスやビジネスインテリジェンスといった技術的なソリューションに多額の投資が行われている」とHackett GroupのRoques氏は話す。このインテリジェンスは、不況が終わったら拡大しようと狙っている企業には不可欠のものだ。ビジネスインテリジェンスを活用すれば、企業は正確な財務指標に頼ることができ、予想によって戦略的な計画を裏付けることができるようになる。
SJ BerwinのGiles氏によれば、同社はRedwoodのツールを使ったビジネスインテリジェンスを積極的に活用しており、情報を最大限に活用できる人間の手に直接渡すことが出来るようになったという。
「これによって、紙によるレポートから脱皮し、顧客にじかに接する弁護士の手に、直接情報を届けることが出来るようになった。彼らには、受け取ったデータを深く掘り下げることができるような道具が与えられる」とGiles氏は述べた。
そして、この情報をエンドユーザーに直接渡すことによって、企業はより機動的に動くことができるようになる。つまりは、ITの場合と同じように、正しい技術は財務部門がビジネスニーズに対応するのを助けてくれるということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ