クラウドコンピューティングにおける「商品化」と「コモディティ化」 - (page 3)

文:James Urquhart(Special to CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル

2010-06-29 15:00

 現在Amazon環境で作業し、これらのサービスを直接利用している開発者は、比較的移植性が高い「準コモディティ」サービスと、(少なくとも実装に関して)真にAmazon固有のサービスを組み合わせて使用していることに気づくかもしれない。

 2つめの理論では、クラウドプロバイダーはサービスだけでなく機能も革新することが可能で、そのような革新的な機能を高めの料金で提供できる可能性もある。市場がその革新に価値を見いだせば製品は売れる。価値を認められなければ無視される。市場に受け入れられない場合、サービスプロバイダーはその機能の価格を下げるか、あるいはその機能自体を廃止するかの選択を迫られる。

 とはいえ、この2つの理論は共存できないというわけではない。例えば、クラウドサービスブローカーの参入により、他社の純粋なコモディティサービスを利用して付加価値サービスを提供するプロバイダーが出てくるかもしれない。また、「最小公倍数的」なコモディティインフラストラクチャサービスの周辺で、処理能力当たりのコストやストレージ容量当たりのコストを大幅に節約するためのサービス設計を行う開発者の市場が生まれる可能性もある。

 ここで重要なのは、市場がその決定を下すということだ。しかし、市場の大部分がまだ評価を下していないトレードオフも存在する。今の時点でいずれかの結果を全面的に支持してしまうことは、極めて接戦の選挙において、まだ5%の票の集計しか終わっていない段階で当選者を確定するようなものだ。

 クラウドコンピューティングがITのコモディティ化(そして、おそらく商品化)にどのような影響を及ぼすのかについて、読者の皆さんの考えを知りたいと思う。もちろん、「クラウドコンピューティングは失敗する」という可能性もある。ただし、そういう見解の人は、クラウドが失敗する理由、そして、コモディティ化や商品化がその失敗に及ぼす影響についての考えを教えてほしい。皆さんの考えを聞くのを楽しみにしている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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