これは、相互依存度の高いソフトウェアエージェントが、ほかのアプリケーションや人間に代わって、ITリソースとサービスからなる「市場」の運用を試みるという環境だ。このシステム(インタークラウドとして考える人もいるかもしれない)では、全く予測しなかったような挙動がほぼ確実に発生するのではないだろうか。
その多くは利点をもたらす可能性が高い。例えば、優れた価格効率性や、予測不可能な事態が発生したときにリソースを迅速に再プロビジョニングできることなどだ。しかし、どこかで発生した比較的些末な出来事(例えば、政治的な対立によるデータセンターの閉鎖)が、多数の顧客に悪影響を及ぼすような出来事の連鎖を引き起こす可能性も高くなるだろう。
ほかのデータセンター自体もオーバーロードの状態になって、サービスレベル契約(SLA)の条件を満たせなくなるかもしれない。あるいは、アプリケーション管理システム同士が相手を混乱させて、互いが実際にはリソースを利用できるのに、利用できないと信じ込んでしまい、アプリケーションの利用が困難になったり、全く利用できなくなったりする可能性もある。
価格が急激に変動し、すべてのコンピューティングコストが大幅に増大するというのが、最も可能性の高いシナリオだと思う。
「フラッシュクラッシュ」という難問に対処するために、規制当局と取引所が共同で、いわゆるサーキットブレーカー制度の有効性の向上に取り組んでいる。クラウド市場のフェデレーション機能と相互運用性機能を拡張していくに当たって、この市場には独自の障害対策が必要だということを十分に理解しなければならない。
ただし、今のところは大した問題ではない。そのため、おそらく手遅れになるまで、クラウド市場が2010年5月6日の出来事を思い出すことはないだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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