米SAS Instituteは7月16日、米国メリーランド州エリコットシティーに本社を置くVision Systems & Technology(VSTI)を買収したと発表した。
VSTIは、過去10年以上にわたり、米国連邦政府のインテリジェンスコミュニティに対して、大量のコンテキストデータの削減、探索的分析、情報の配信、インテリジェンス分析のアラートなど、高度な分析ソリューションを提供している。インテリジェンスコミュニティとは、機関国家安全保障上重要となるインテリジェンスを提供する情報機関の総称。国の政府が設置している情報機関によって組織されており、各情報機関の活動を調整し、情報を一元化する役割を果たす。
しかし昨今、インテリジェンスコミュニティではデータ量が爆発的に増加しており、国家安全保障に対する脅威は急速に広まっているという。インテリジェンスコミュニティのデータ処理能力が増加するデータ量に対応できるようにするには、分析能力を向上させ、分析が実行できるまでの時間を短縮する先進的な分析アプリケーションが必要だとしている。
今回の買収により、VSTIのインテリジェンスコミュニティ分野に対する深い知識や分析ノウハウとSASの高度なアナリティクスを組み合せ、大量のデータを迅速に整理して最も関連性の高い情報が特定できるソリューションを、より短期間で導入できるようになるという。これにより予測的分析と意思決定がスピードアップし、最終的には脅威の阻止につながり、人命救助に役立てることも可能だとしている。
SASは6月に、公安の強化や犯罪の阻止、防止ソリューションを専門とするスコットランドのMemexを買収したが、VSTI買収によって国家安全保障関連市場向けソリューションをより強化できるとしている。