パフォーマンスやスケーラビリティをSaaSへ
2010年秋以降に登場予定の新版では、新機能としてカテゴリベースのウェブフィルタリングを搭載する。以前からレピュテーションベースでのフィルタリングは提供していたが、カテゴリベースでもリンク先の危険度を表示する。
またマカフィー独自のレピュテーション技術である「アルテミス」で定義ファイル提供のタイムラグでのゼロデイ攻撃に対応する。具体的には、「疑わしい動きをするファイルを検知した場合にフィンガープリントによる特徴をMcAfee Labsのデータベースと照合、ワクチンが作成中であるかどうかを確認し、対応中のものは危険なファイルとして動作を止める」(桐谷氏)。
さらにTPSでは、ファイルやウェブ、IPの3種類のレピュテーション機能も搭載する。マカフィーではウェブへのレピュテーションを2006年から、ファイルレピュテーションを2008年から製品に盛り込んでおり、IPレピュテーションはMcAfeeが買収したSecure Computingが2004年頃から実用化している。これらのデータベースの蓄積は「マカフィー製品の大きな強み」(市橋氏)となっているという。ベースにマカフィー独自の「Global Threat Intelligence(GTI)」技術があることも大きい。
このほか、中小企業など1〜2台のサーバを置いているような場合に、サーバを定期的にスキャンして危険度をメールで通知する「脆弱性診断」、グローバルなセキュリティ基準「PCI DSS」に対応したレポーティングを行う「PCIコンプライアンス」を提供する「Vulnerability Assessment」も用意されている。
さらに、一定のセキュリティ基準を満たすサイトにトラストマーク「マカフィーセキュアマーク」を発行する。特に海外ではオンラインショッピングモールのようなマーケットポータルがないため、自社のECサイトの安全性をアピールできる。「実際にマークを貼ることで売り上げが10%伸びたケースもある」(桐谷氏)という。ホスティングサービスのオプションとしても有効としている。
ウェブベースの管理画面では、クライアントPCの定義ファイルの実施状況やブラウザ保護機能の適用状況、ファイアウォールの状況などを一元的に把握することができ、円グラフによる表示やリストアップなどのドリルダウンも可能だ。クライアントPCのグループ化やテンプレート化されたポリシーなどによって運用管理も容易になる。
TPSは現在、「国内90万、世界500万のユーザーがおり、6000クライアントの事例もある」(市橋氏)。TPSの導入によって、50%のコストダウンを実現した企業も存在すると説明。このパフォーマンスやスケーラビリティをSaaSに拡大しつつ、サーバへも軸足を伸ばしていく考えだ。
ただし、マカフィーではすべてSaaSに移行していくわけではなく、SaaSとオンプレミス双方の良さを提供していくとしており、そのためにSaaSのポートフォリオをしっかりと構築する狙いがあるとしている。「今後もメールやアーカイビング、事業継続性などのソリューションも提供していき、ポートフォリオを充実させていく」(桐谷氏)方針だ。
SaaSとオンプレミスのハイブリッドというソリューションも将来的に想定はあるが、現時点ではロードマップが存在しないという。ただし、「そういう方向へ進んでいくことは間違いないだろう」(市橋氏)としている。