10月7〜8日にドイツ・ベルリンで「Citrix Synergy 2010 Berlin」を開催したCitrix Systems(Citrix)。欧州初となるイベントの基調講演では、「Citrix XenDesktop 5」や「XenServer Feature Pack for v5.6」といった基幹製品のアップデートに加え、日本未展開のビデオ会議SaaS「GoToMeeeting」のHD対応などが発表された。
イベント開始直前に正式版を公開した「Citrix XenClient」も加えてデスクトップ仮想化を加速させる同社President兼CEOのMark Templeton氏に、仮想化市場における立ち位置や今後の展開を聞いた。
不況下でも「将来への投資」進める企業が製品を導入
--8月に発表された2010年度第2四半期の業績は非常に好調(売上高で4億5800万ドル)だった。不況で企業が投資に対して消極的になっている中、製品が受け入れられている理由をどのように考えていますか。
我々の業績は仮想化の市場と直結しています。つまり仮想化がビジネスに直接的なインパクトを与えているということです。顧客は仮想化を進めることで柔軟性やセキュリティを高め、コストを削減しています。グローバル経済はまだ不透明ですが、将来の計画を立てている企業はこのような「将来への投資」を進めているのです。
--特にアジア圏での成長が著しいようですが、この理由についてどう考えていますか。
アジア全体の経済が強く回復してきているということです。中国をはじめ、シンガポールや香港なども堅調です。アジア市場の顧客は中小企業が多いのですが、我々にはワールドワイドで4000〜4500のパートナーがおり、彼らと協力して関係を構築しています。
グローバルにおけるアジアの貢献度は全体の十数パーセントです。大きな市場ではありますがまだまだ未成熟なところもあります。たとえば現在日本ではGoToMeetingなどのSaaS製品を展開できていないといったこともあります。
--基調講演ではさまざまな製品が発表されました。これから大きなインパクトを持つ製品は何なのでしょうか。
XenDesktop 5が大きな利益をもたらすでしょう。1年前から6月末までで350万ライセンスを出荷しています。VMwareなどが発表した数字を見ても、我々がナンバーワンです。しかし、「市場シェア」という数字は出ていません。
我々はクライアントの仮想化からOS、アプリなどの仮想化についても「デスクトップ仮想化」と言っています。しかしそれは定義の仕方によります。我々の言う「仮想化」とVMwareの言う「仮想化」は異なります。我々は、我々の定義する「仮想化」においてトップ企業だという訳です。
GoToMeetingについては、HD対応やドイツ語版、フランス語版も発表しました。ビデオ会議サービスではCisco Systems(Cisco)の「WebEx」がシェアでナンバーワンです。しかし製品やテクノロジーでは我々が勝っていると思っています。Ciscoが持っていないグローバルフットプリントも持っています。彼らに比べて若い組織ではありますが、十分に競合できると思っています。