IDC Japanは10月12日、国内セキュリティ市場の予測を発表した。これによると、2010年の国内アイデンティティ/アクセス管理ソフトウェア市場規模は前年比3.9%成長と2009年の同3.4%から上昇。国内セキュリティ/脆弱性管理ソフトウェア市場の成長率は前年比プラス6.5%と前年のマイナス0.2%から改善するとそれぞれ予測している。
IDCでは、国内アイデンティティ/アクセス管理ソフトウェア市場の製品分類としてシングルサインオン、ユーザー管理、個人認証デバイス、その他に分けている。このうちシングルサインオン製品は、不況による影響で企業での投資が抑えられる中、大学間連携ネットワークへの対応需要により文教セグメントでのビジネスが好調だったという。また、これまでのイントラシステム内での需要に加えて、イントラシステムとクラウドシステムのシステム間での需要が今後も続き、市場のけん引役になると予測している。同市場の2009〜2014年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.5%、市場規模は2010年の516億円から2014年には618億円に拡大するとみている。
一方の国内セキュリティ/脆弱性管理ソフトウェア市場には、ログ管理製品、ポリシー管理製品などが含まれる。市場需要はこれまで主流であった日本版SOX法をはじめとした内部統制監査対策から、情報セキュリティそのものの向上を目指す、情報漏えい対策やデータ保護のための投資に変わりつつあるという。今後はシステムの仮想化とともに増大する論理サーバのセキュリティ管理需要が拡大すると予測しており、2009〜2014年のCAGRは6.1%、市場規模は2010年の210億円から2014年には265億円に達するとみている。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティリサーチマネージャーの花岡秀樹氏は「クラウドと仮想化のセキュリティ対策は専門性が高く、複雑でわかりにくいため、セキュリティをインフラにビルトインするのが適切である。製品ベンダーはクラウドサービス提供ベンダーやエンドユーザーの初期投資を抑える課金モデルを提示し、長期的収益を上げるストックビジネスを築くチャンスとすべきである」とコメントしている。