国内クライアントPC市場、企業業績の回復で買い替えが本格化し2桁成長--IDC予測

富永恭子(ロビンソン)

2010-10-21 19:23

 IDC Japanは10月21日、国内におけるクライアントPC市場予測について発表した。これによると、国内クライアントPC市場は堅調に推移しており、2010年の出荷台数は1504万台になると予測している。1500万台を上回るのは、IDCが調査を開始してから初めてという。

 2010年上半期(1〜6月)の国内クライアントPC市場は、2四半期(1〜3月、4〜6月)連続で家庭市場、ビジネス市場共に2桁成長を遂げ、PC市場が回復傾向にあることを示したという。2010年の家庭およびビジネス市場のPC出荷台数の前年同期比成長率は、家庭市場が第1四半期(1〜3月)で14.3%増、同市場の第2四半期(4〜6月)は13.5%増となっており、ビジネス市場では、第1四半期は35.6%増、第2四半期が13.4%増となっている。

 家庭市場においては、2010年に入り、これまでのけん引役であったミニノートブックPC(ネットブック)の出荷は、需要が一巡したことや、iPadの登場などで落ち込んできているという。替わってオールインワンタイプのデスクトップPC(以下、AiO)は、ミニノートブックPCの落ち込みを埋め、Windows 7の買い替えを促進させるなど、家庭市場のけん引役となってる。IDCでは、AiOが好調な要因は、筺体がコンパクトになったことによって家庭内で場所の移動が自由にできるようになり、この新しいスタイルの提案が市場に受け入れられたと考えている。しかし、AiO以外に家庭市場に大きな影響を与える事象はこの先見当たらず、2011年以降は低成長の時代に入るとみている。

 一方、ビジネス市場については、2010年になって、企業の買い替え需要が企業業績の回復とともに持ち直し、2010年第3四半期(7〜9月)に企業向け出荷のピークが訪れると予測している。しかし、それが過ぎると買い替えの需要はおさまり、再び低迷期に入るとみている。

 IDC Japan、PC、携帯端末&クライアントソリューション グループマネジャーの片山雅弘氏は「2010年のビジネス市場は、企業業績の回復とともにPCの買い替えが本格化した。しかしこの現象を、業績の回復とともに企業が積極的なIT投資に転じたと見るにはまだ早い。企業は手元資金が回復したことにより、金融危機のため先延ばししていた老朽化したPCの買い替えを行ったに過ぎない。企業が戦略的なIT投資に向かうか否かについては、さらに慎重に見極める必要がある」とコメントしている。

2005〜2014年、国内クライアントPCの出荷台数予測 2005〜2014年、国内クライアントPCの出荷台数予測(出典:IDC Japan)

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