アイ・ティ・アール(ITR)は1月20日、国内CRM(顧客関係管理)市場の提供形態別市場規模推移を発表した。これによれば、2009年度のCRM市場は、SaaS市場が前年比15.0%増の拡大を見せ、パッケージ市場を上回ったとしている。
同社によると、国内CRM市場の2009年度の国内出荷金額は、191億1000万円で前年比2.5%増となった。パッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、2009年度はパッケージの市場規模は93億9000万円で、前年比7.9%減であったのに対し、SaaSは市場規模が97億2000万円、同15%増と大きな伸びを維持し、SaaS市場が初めてパッケージ市場を上回る結果になったという。この傾向は2010年度も続き、SaaS市場のシェアは上昇するとITRでは見ている。
また、SaaS型CRM市場においては、2009年度もセールスフォース・ドットコムが30%強のシェアを維持し、市場をけん引している。また、エイケア・システムズ、パイプドビッツ、シナジーマーケティングなどのメール送信を中核とする製品の伸びが著しく、市場の拡大に大きく貢献したとITRでは分析している。
ITRのシニアアナリストである甲元宏明氏は、「CRMは、SaaSまたはパブリッククラウドにおいて最も注目されている市場のひとつだ。2009年度、SaaS型のCRM市場がパッケージ市場を上回った要因には、初期投資を抑制し、資産取得を回避する企業が多いこと、また、SaaSを活用した国内ユーザー企業の事例が多く紹介され、SaaSおよびパブリッククラウドに対して、ネガティブな意見を持つ企業が減少していることがあげられる。すべてのシステム領域で採用する企業が増えるとはいえないが、少なくともSaaSおよびパブリッククラウドを検討対象から外す企業は激減するだろう」とコメントしている。