BI/BA/DWH:焦点は“ビッグデータ”と「Hadoop」--そしてリアルタイム化

田中好伸(編集部) 2010年12月29日 10時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2009年に引き続き2010年もビジネスインテリジェンス(BI)と、その基盤となるデータウェアハウス(DWH)市場では、さまざまな動きが起きている。企業買収もあれば、新技術の台頭もある。この1年間にBIとDWHの市場でどんな動きがあったのかを振り返ってみる(2009年については「激化するBI戦争はDWH分野へと戦線拡大」を参照していただきたい。またBIがどんなものなのかは「BIによるデータ活用ことはじめ」でとても分かりやすくまとめられているので、是非参照してもらいたい)。

IBMとEMCの買収

 2010年を振り返ってまず注目できるのが、IBMによるDWHアプライアンス専業ベンダーNetezzaの買収だ。IBMは2007年11月にBIソフトベンダーであるCognosを買収しており、CognosブランドでBI製品を提供している。IBM自身も中堅企業向けにDWHアプライアンスを提供している。

 DWHは、古くからTeradataが業界の巨人として君臨していたが、NetezzaはDWHアプライアンスという新しい製品で、この数年で大きく台頭するようになっている。Netezza製品の性能はもちろん、導入時の簡便さや運用コストの低さは、Netezzaの独自技術によるところが大きく、IBMの買収も、その独自技術に目を付けてのことと言えるだろう。

 Netezzaは日本国内で、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)とSAPジャパンと組んで、NetezzaのDWHアプライアンスをベースにしたBIアプライアンスを提供している。IBMの買収以前から進められていたNECとのDWHアプライアンス共同開発は、今後も継続することが発表されている。

 IBMは、BIやDWHを中心とするデータ活用では、Netezzaのほかに、統計解析技術に強いSPSSを2009年7月に買収しており、同分野で今後も買収していく可能性があるものと考えることができる。

 次に2010年で意外だったのが、ストレージ最大手EMCのGreenplum買収だ。Greenplumは、分散処理プログラミングフレームワークである「MapReduce」を実装した「Greenplum Database」を展開している。Greenplumの技術をベースにしたDWHアプライアンスは2011年1月から日本国内での提供が始まる。

 EMCといえば、過去に企業向けコンテンツ管理(ECM)大手のDocumentum、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの仮想化技術大手のVMwareを買収してきているが、その買収の度に業界では「EMCは何を狙っているのかよく分からない」といわれてきている。今回のGreenplum買収も、ストレージベンダーのEMCという姿からは若干かけ離れている。

 しかし、この数年のEMCの動きを見れば、今回のGreenplum買収もそれほど意外とは言えない。というのもEMCはグループのVMwareとネットワーク機器大手のCisco Systemsと組んで、サーバやストレージ、ネットワークなどをまとめた「Vblock」を提供しているからだ(米国では1つの企業を形成しているが、日本では企業連合として動いている)。この3社の動きは、業界内で“領域侵犯”として注目されており、今後似たような動きがあるのではないかと推測できる。

リアルタイムに突き進むSAPとOracle

 具体的な製品として注目したいのが、SAPのBIアプライアンス「SAP High-performance ANalytic Appliance(HANA)」とOracleのデータベースマシン「Oracle Exadata Database Machine X2-8」(Exadata X2-8)だ。この2つの製品で共通しているのが、将来的な目標として、オンライントランザクション処理(OLTP)とオンライン分析処理(OLAP)を1つのデータベース(DB)上で実現しようとしていることだ。

 SAPはBusinessObjectsを2007年に買収、そして2010年5月にSybaseを買収している。買収したBusinessObjectsとSybaseの技術を活用して開発したのがHANAである。現段階の「HANA 1.0」は、業務系システムと情報系システムをリアルタイムで連動させるものだが、2012年内にも予定している「HANA 2.0」では、業務系システムの更新系DBと情報系システムの情報系DBの両方をHANAに統合するというロードマップを明らかにしている。

 一方のExadataは、2008年9月に発表された当時、DWHアプライアンスという位置付けだった。Sun Microsystemsを買収したOracleはSunの技術をExadataに活用してからExadataの位置付けを“データベースマシン”としている。そのいわれは、DWHとしても基幹系業務DBとしても、両方で活用できるためだ。Sunの技術を活用したExadataは、その性能などが評価され、北陸コカ・コーラ「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ「ユニクロ」のファーストリテイリングベネッセ化学品商社の長瀬産業大阪ガス楽天証券バイエル薬品などに導入されている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化